一葉植物(イワタバコ科)の進化学的研究
【研究分野】系統・分類
【研究キーワード】
一葉植物 / イワタバコ科 / ウシノシタ属 / モノフィレア属 / 形態形成 / 分子系統解析 / 進化 / 子葉 / 異形子葉性 / 分子系統 / 個体発生 / Monophyllaea / 系統分類
【研究成果の概要】
一葉植物とは一枚の子葉だけで一生を終え、茎も普通葉もつくらない植物で、イワタバコ科のウシノシタ属とモノフィレア属にみられる。本研究では平成11年度にボルネオ島、マレー半島部、タイにおいて主にモノフィレア属ならび近縁属(チリタ属、エピセマ属など、イワタバコ亜科)を、平成12年度にはマダガスカルと南アフリカにおいてウシノシタ属の一葉種、ロゼット種および有茎種を、そして平成13年度にはブラジルにて同形子葉性を示すオオイワギリソウ亜科の採集・調査を行った。これらの分子系統解析と個体発生過程の比較から、一葉植物の起源について考察した。イワタバコ亜科の胚が茎頂も胚根ももたないのは、単に個体発生過程が遅れたことによる。そしてその遅延のため後で形成された茎頂は栄養シュートを作る間もなく、直接生殖茎頂に分化してしまったものと推測される。1枚の子葉の大形化をもたらす基部分裂組織の起源は未だ不明で、現在分子遺伝学的手法を用いて解析を進めているが、形態学的にはウシノシタ属有茎種とチリタ属(外群)の比較が有効な手段と考えられる。両属では大型子葉は、一定の大きさになった時、基部分裂組織が消失し成長が止まった。また普通葉は、一般の植物にみられる介在成長を示さず、基部で成長した。基部には基部分裂組織ほど明瞭ではないが、小形細胞群が存在した。このような普通葉の成長様式は、オオイワギリソウ亜科の同形子葉種では観察されなかった。以上から、イワタバコ亜科では共有派生形質として、普通葉が基部で成長するという特異な形態形成様式を獲得し、これが大型子葉の基部分裂組織の確立をもたらしたと推測される。そしてイワタバコ亜科内で、さらに茎頂の発達遅滞が起り、その結果一葉植物が進化した可能性が高い。
【研究代表者】