ヒトデ胚形態形成における間充織細胞と細胞外マトリックスの相互作用
【研究分野】発生生物学
【研究キーワード】
イトマキヒトデ / 形態形成 / 細胞外マトリックス繊維状成分 / 糖結合分子 / 間充織細胞 / 膜結合分子 / 再構築系 / 体腔のう形成 / 細胞外マトリックス / 繊維状成分 / ネットワーク構造 / 形態形式 / モノクローナル抗体 / 共焦点レーザー顕微鏡
【研究成果の概要】
イトマキヒトデ胚の形態形成に関与する繊維状細胞外マトリックス(FC)と間充織細胞(MCs)に特有な分子の性質を調べ、以下の結果を得ている。
(1) FCの構成分子のひとつに、分子量300KDa、N-グリコシド型糖を含む分子(FC分子)が同定された。FC分子はジスルフィド結合を介して、分子量32〜36KDaのサイズの分子(29E6分子)と結合していた。FC分子と同様に、29E6分子も、胞胚期以降の胞胚腔に発現するECM成分であったが、FCとは全く異なった構造と機能を持っているようであった。これらの結果から、ECMを構成する異なった成分どおしが、互いに結合し、それぞれに特異的な影響を細胞に与えている可能性が示唆された。
(2) MCsに特異的なMC5分子は、原腸胚中期以降、MCsの原形質膜や細胞内諸器官の膜領域に局在する。MC5分子は、73KDaの分子量を持ち、トリプシン切断箇所を含み、生合成の過程で糖鎖付加阻害剤の影響を受けない。また、細胞骨格と結合している可能性が示唆された。MCsに特異的な膜のダイナミクスに関与している分子だと考えている。ヒトデ胚は、個々の細胞まで解離されても、その後の細胞どおしの凝集を経て、正常な形態を持つビピンナリア幼生へ再構築できる。この現象が、MCとFCの相互作用を細胞レベルで解析できる実験系として有効であるかどうか探った。
(3) MCsとFCの相互作用が行われる可能性がある体腔嚢形成で、間充織細胞は、胞胚腔中に凝集して生じてくる体腔嚢に、直接、またあるときにはFCを介して活発に働きかけている様子が観察された。この事実から、新たな実験系として有効であるとの結論を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
金子 洋之 | 大阪市立大学 | 理学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】2,600千円 (直接経費: 2,600千円)