ダイナクチン構造変化とダイニン運動制御機構の解明
【研究キーワード】
ダイナクチン / ダイニン / 微小管 / 電子顕微鏡観察 / AFM観察 / 構造変化 / 高速AFM観察 / 1分子FRET光学系
【研究成果の概要】
ダイナクチン複合体のサイドアームとArp1 rod の相互作用について、電子顕微鏡観察像を画像処理することにより詳しく解析した結果、両者は複数の部位で可逆的に結合・解離しており、shoulderの大部分が解離している状態(shoulder-undocked)、 shoulderの根元のみが結合している状態(shoulder-docked)、サイドアーム全体が複数個所で結合した状態(sidearm-docked)、の3つのフォームがあり、それらが平衡状態にあることを示した。特に、shoulder-undocked と shoulder-docked では、サイドアームの先端は大きく揺らいでいた。これにより、従来から指摘されていた電子顕微鏡の負染色像とクライオ電子顕微鏡像の間の全体像の食い違いを説明することができた。
電子顕微鏡観察の結果を踏まえ、ダイナクチンの水溶液中でのダイナミックな構造変化を深めるために前年度に続いて高速原子間力顕微鏡観察を進めた。サイドアーム最先端部が伸び縮みする大きな動きはCAP-GlyとCC1の間にある長い天然変性領域(プロリンリッチドメイン)によるものと考え、この領域の一部を欠損した変異体を作製したところ、予想外にも、プロリンリッチドメインに続くCC1(CC1領域のN末端側)がほどけて伸びることがわかった。従って、プロリンリッチドメインにはCC1のコイルドコイル構造を安定化する役割があると考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
矢島 潤一郎 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
須河 光弘 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)