がんエクソソームが誘導する未来転移先単一細胞発現変化および1微粒子レベル解析
【研究キーワード】
エクソソーム / 前転移ニッチ / がん転移 / ExoView / 臓器特異的転移 / がん
【研究成果の概要】
がんから放出される微小胞(エクソソーム)が、未来転移先臓器にあらかじめ取り込まれ、その臓器へのがん転移を促進することを報告してきた。しかし、エクソソームを特定の臓器へ導く分子が何かはわかっているが、それ以外のエクソソームの役割について、またその他のどの分子が転移の他の機序に関わるかについては未だ多くは明らかでない。そこで本研究では、がん由来エクソソームのうち、どのサブ集団にがん転移促進能があるのかを1粒子レベルで調べ、そこに含まれるどの分子が重要かを検討する。
①前転移ニッチの形成に寄与するがん由来エクソソームの特徴を1微粒子レベルで明らかにすることを第1の目的とする
これまでにがん細胞由来エクソソームのインテグリンα6β4が肺転移に、CEMIPが脳転移に、それぞれ重要な役割を果たすことを報告した。本年度ではシングルエクソソーム解析が可能なExoViewを用いて肺転移性がん細胞のクローン株を作り、クローン別に細胞由来エクソソームの多様性が異なるかについて検討を行い、比較対象としてベストな4種類のクローンの解析を開始した。それぞれのクローンの粒子量、サイズ、タンパク質含有レベル、ならびに特定分子の含有量について調べた。これによって、単一細胞から産生されるエクソソームにも多様性があり、その違いがどの様な細胞機序によって規定されているのかが、今後解析できることになる。
また、今年度はクローン細胞側の特徴についても検討を行った。特定の分子陽性のエクソソームをより多く産生する細胞とそうでない細胞ではその細胞の形質に違いがあることを調べた。この特徴については、細胞の特定のタンパク質発現量の差だけではなく、がん細胞の悪性度に関わるとされる、増殖や遊走能についても違いが見られた。この実験については全てin vitroで行なっているため、今後in vivoの実験へと展開させていくことになる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)