マルチオミクス統合解析を基にしたグリオーマ再発・悪性化機構解明と新規治療戦略創出
【研究キーワード】
グリオーマ / 再発・悪性化 / オミクス解析 / 免疫 / 微小環境 / グリーマ / 多様性 / 再発 / 悪性化 / マルチオミクス解析 / エピゲノム
【研究成果の概要】
本研究は、グリオーマの腫瘍内多様性に着目し、その再発・悪性転化に関連して生じる変化を、主に分子プロファイルのマルチオミクス解析を基盤として解析することを目的としている。より具体的には、A)再発・悪性転化に伴うエピゲノム変化の網羅的解析を基にした腫瘍進展機構解明と治療標的創出、及び、B)再発・悪性転化に伴うグリオーマ微小環境の経時的変化解析による免疫逃避機構解明を行うための研究に注力した。
A)の再発・悪性転化に伴うエピゲノム変化の解析においては、再発悪性化検体でのエピゲノム変化の解析を行うにあたり、2021年に改訂される脳腫瘍のWHO分類にてCDKN2A/Bのホモ欠失が、IDH変異を有する星細胞腫の悪性度(グレード)診断に必要となったため、これまで保存した検体のIDH遺伝子変異、染色体1p/19qヘテロ接合性喪失、CDKN2A/Bの欠失を、シークエンス、MLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)法、定量的リアルタイムPCR法にて解析した。CDKN2A/Bの欠失判定において、MLPA法と定量的リアルタイムPCR法において結果に相違があったため、適切な検査条件の検討を行うことで、真の悪性転化症例を抽出した。この他、そのプロモーターの能動的DNA脱メチル化が悪性化に関連することを先に報告したIGF2BP3遺伝子について機能解析を継続的に行った。
B)のグリオーマ微小環境変化の免疫関連解析においては、微小環境に存在する腫瘍随伴マクロファージ(tumor-associated macrophage: TAM)の機能解析を行った。特に腫瘍やTAMより分泌されるサイトカインIL-1βにより、グリオーマ細胞の細胞増殖が3次元培養下にて引き起こされることを確認し、その詳細な機序解明のための解析を継続して施行した。
【研究代表者】