糸球体濾過障壁の恒常性維持におけるGpr116受容体の作用機構
【研究分野】細胞生物学
【研究キーワード】
受容体 / 血管内皮細胞 / 腎蔵 / シグナル伝達 / 糸球体 / 細胞内情報伝達 / ノックアウトマウス / 血管内皮 / 細胞・組織
【研究成果の概要】
本研究では,まず,Gpr116が腎糸球体の血管内皮細胞に局在することを免疫電顕で明らかにした。次に,正常マウスとGpr116欠損マウスの糸球体血管内皮細胞の遺伝子比較解析を行い,Gpr116欠損によって変動する遺伝子を同定した。また,Gpr116の細胞内シグナル伝達経路については,Gpr116の過剰発現によって活性化状態に変化する細胞内シグナル伝達分子の候補の絞り込みができた。さらに,Gpr116安定発現細胞株を用いてせん断ずり応力(shear stress)への応答性について検討したところ,流れ刺激によってわずかであるが応答を示すことを見出した。
【研究の社会的意義】
腎炎や腎不全に有効な治療法が確立しておらず,年々透析患者数が増加する傾向にあって患者の医療費負担や国の財政圧迫が国内外問わず問題視されている。その為,糸球体濾過障壁の形成維持機構の解明が急務となっている。本研究は,糸球体血管内皮における情報伝達とその作用という新しい切り口から 濾過障壁の恒常性維持機構の解明に挑戦する点が特色であり,今まで不明な点が多かった糸球体内皮細胞の特性を明らかにするばかりでなく,腎疾患の病態の基礎・臨床研究の進展に貢献できる点で意義深い。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)