染色体組換え開始部位におけるクロマチン再編成の制御機構
【研究分野】細胞生物学
【研究キーワード】
組換え / ホットスポット / ストレス応答MAPキナーゼ / cAMP依存性キナーゼ / 減数分裂 / 分裂酵母 / クロマチン再編成 / ヒストンアセチル化 / 染色体 / クロマチン / ヒストン / 転写 / cAMP / MAPキナーゼ
【研究成果の概要】
真核生物の減数分裂期組換えは、ホットスポットと呼ばれる特定の染色体部位DNA二本鎖切断が契機となって開始される。これまでに我々は、出芽酵母や分裂酵母を用いて、組換えホットスポットが染色体上で特異な「開いた」クロマチン構造を取る事を明らかにしてきた。
本研究計画では、ade6-M26点突然変異によってもたらされる分裂酵母の減数分裂期組換えホットスポットに関して、クロマチン構造と組換え開始制御の関係を調べた。その結果、ade6-M26点突然変異によってもたらされるCRE様転写制御配列に特異的に結合する転写因子Atf1/Gad7-Pcr1が、その周辺にクロマチン再編成をもたらし、ひいては組換えの活性化を誘導することを明らかにしてきた。
また、このクロマチン再編成が、ストレス応答MAPキナーゼやcAMP情報伝達経路、および接合型フェロモン情報伝達系や減数分裂誘起因子などによって重層的に制御されていることを示した。さらには、クロマチン再編成と組換えを開始するDNA二本鎖切断反応が、ホットスポット周辺のヒストンのアセチル化レベルによって制御されていることをはじめて示した。このヒストンのアセチル化には、出芽酵母からヒトまで保存されているGcn5ヒストンアセチル化酵素がきわめて重要な役割を果たすことを示した。
以上に加え、fbp1、cgs1、ctt1、gpd1、pyp2、rst2、ptc1などの遺伝子座の転写制御領域に存在する天然のCRE様配列における減数分裂期のクロマチン構造変化を調べたところ、cgs1とptc1を除くほぼすべての遺伝子座で何らかのクロマチン再編成が起きていることを明らかにした。以上の結果は、クロマチン再編成を通じた普遍的な組換え制御機構の存在を示唆している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
水野 健一 | 理化学研究所 | 遺伝生化学研究室 | 基礎科学特別研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】2,700千円 (直接経費: 2,700千円)