新発見の多価ホルモン受容体の構造と機能及び生理学的意義
【研究分野】機能生物化学
【研究キーワード】
カルシトニン受容体 / ホルモン結合ドメイン / ドミナントネガティブ / エンドセリン / 赤血球 / GPCR / フグ / アドレノメデュリン / アミリン / CGRP / RAMP / CLR
【研究成果の概要】
ホルモン結合ドメイン(HBD)を4個有するフグのカルシトニン受容体の解析を継続し,
(1)強いリガンド結合能を有するのは第4番目のホルモン結合ドメインHBD4であるが,第1から3番目のドメインも受容体が細胞膜表面に輸送されるためには不可欠であることが分かった。特にHBD1〜3を削った変異体ではまったく細胞表面に輸送されなくなることが,細胞表面に発現している膜タンパク質を検出するビオチン化実験によって明らかになった。
(2)魚類のカルシトニンはヒトのカルシトニン受容体に結合するが,ヒトのカルシトニンはフグの受容体に結合しないことを見いだした。ホルモン結合ドメインの保存配列が魚類と哺乳類では一部違っており,それに対応すると推定されるリガンド側のアミノ酸配列も電荷的にプラスとマイナスが逆になっていることが分かった。
(3)肝臓ではホルモン結合ドメインを1つも持たない特殊なスプライスアイソフォームが高発現していることを見つけ,さらにこの分子が細胞中でdominant negative体として働いてcAMPの合成を阻害することを見い出した。カルシトニンは古くは魚類で最初に見出されたペプチドホルモンであるが,魚類における受容体の報告は本論文が初めてとなる。また肝臓におけるdominant negative体の存在はペプチドホルモンのシグナル伝達の新たな制御の概念を提唱するものであり,今後の研究の発展が期待される。
(4)関連の研究として,核を有する魚類の赤血球ではペプチドホルモン受容体を発現しており,リガンドに応答してcAMP等の細胞内応答をしているという興味深い事実を見つけた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
加藤 明 | 東京工業大学 | 大学院生命理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)