鋳型非依存性RNA合成酵素の分子機構、進化の分子的基盤研究
【研究分野】構造生物化学
【研究キーワード】
RNA / 構造解析 / 反応機構 / 鋳型非依存的 / 複合体 / 酵素反応 / 合成 / RNA合成 / 鋳型非依存性 / ダイナミックス
【研究成果の概要】
鋳型非依存的RNA合成酵素であるCCA付加酵素は核酸性の鋳型を用いることなく,定まった配列を定まったRNAプライマーに付加/合成するという点で非常にユニークな酵素である。我々は,昨年度,古細菌由来のCCA付加酵素がCCA配列を合成する過程,すなはち,合成開始,伸長,終結にいたるすべての状態のスナップショットのX線結晶構造解析,生化学的解析を行ない,世界に先駆けてCCA付加酵素によるCCA付加反応の動画の作製に成功し,30年来の謎を解明した。今年度は,さらに古細菌由来のCCA付加酵素が正しい配列が合成されたか,否かを確認するProofreadingの機構の解析を行なった。3'末端に変異を導入したRNAとCCA付加酵素の複合体,合計11種類のX線結晶構造解析,さらに変異体RNAを用いた生化学的解析をとおして,ユニークなProofreadingの分子機構が明らかになった。CCA付加酵素は,最初のヌクレオチドが間違って付加されても,そのヌクレオチドの確認を行なわず,次の2番目のヌクレオチド付加の反応を行なってしまう。しかしながら,2番目の付加反応が進行し,最後のヌクレオチドの付加を行なう時に,最初と2番目に付加されたヌクレオチドの配列を確認し,3'末端領域配列がCCA以外のものを合成できないにしていることが明らかになった。この最後の段階での"Proofreading"機構は,酵素が活性型の閉じた構造をとっており,RNAの最初のヌクレオチドが酵素のべーターターンとWatson-Crick用水素結合をし,かつ2番目のヌクレオチドの大きさと,02の有無によって行なわれていることが明らかになった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】30,420千円 (直接経費: 23,400千円、間接経費: 7,020千円)