小胞体におけるタンパク質のクオリティーコントロールの研究
【研究分野】構造生物化学
【研究キーワード】
小胞体 / クオリティコントロール / タンパク質分解 / シャペロン / システインプロテアーゼ
【研究成果の概要】
小胞体におけるタンパク質のクオリティコントロールをつかさどる分子機構について研究班を組織し、以下の研究分担によって解析を行った。動物細胞の小胞体膜透過をモデルタンパク質を用いて解析し、シグナルペプチドの長さ・疎水度と透過効率との関係を明らかにした(多賀谷)。PDIのシャペロン機能を明らかにし、さらに関連タンパク質(PDIR)のクローン化を行いその構造を決定した(菊地)。変異型分泌タンパク質の小胞体内貯留にはシャペロン(calnexin, B ip)が、分解にはプロテアソームが関与していることを示した(池原)。組み換え型ER-60プロテアーゼの大量発現系を構築し、活性残基ならびに小胞体保留シグナルを同定した(鬼頭、裏出)。小胞体トリグリセリド輸送タンパク質(MTP)を発現する細胞株を樹立し細胞内局在性と存在形態を調べ、PDIとの相互作用を解析した(佐藤)。酵母小胞体のB iPの誘導がSsalpの減少によって誘導されることを見出し、この機構に関与するシスエレメントを同定した(河野)。コラーゲン特異的シャペロンHSP47とコラーゲンとの結合はシスゴルジで解離すること、HSP47アンチセンスRNAの発現によって、コラーゲンの発現と細胞内輸送が抑制されることを見出した(細川)。小胞体シャペロンGRP94の自己リン酸化活性を見出し、このリン酸化は核移行シグナルペプチドによって促進されること、カゼインキナーゼ2の関与があることを見出した(宮田)。タンパク質の小胞体局在化機構について酵母を用いて解析し、Sec12pの小胞体局在化シグナルを同定した。また動的逆送に関与する遺伝子産物を解析した(中野)。小胞体経路の分泌タンパク質のソーティングが酸性pH依存的に起こること、ならびに分泌小胞が膜融合する際、リゾリン脂質が特異的に生成することを見出した(福岡)。研究班会議を開催し班員間で討議を行うとともに、以上の研究成果を取りまとめ報告書を刊行した(鬼頭)。
【研究代表者】