リボソームRNA遺伝子における増幅誘導配列(EXP)の機能解析
【研究分野】分子生物学
【研究キーワード】
ゲノムの安定性 / リボソームRNA遺伝子 / 遺伝子増幅 / non coding RNA / DNA組換え / コヒーシン / 系統発生学的フットプリンティング法 / 細胞老化 / noncodingプロモーター / DNA損傷薬剤 / サイレンシング / 組み換え / 姉妹染色分体結合 / DNA修復 / 遺伝学 / ゲノム / noncoding RNA / 組換え / 姉妹染色分体
【研究成果の概要】
ゲノムの不安定性は細胞老化や癌を引き起こす原因と考えられており、DNAを修復する機構、特に修復酵素群の働きについては、これまで遺伝学、生化学的手法により研究されてきた。リボソームRNA遺伝子(rDNA)は100コピー以上が繰り返して存在しており、リピート間での相同組換えによるコピーの脱落が頻繁に観察されるゲノム中で最も不安定な領域の1つと考えられている。しかしrDNAには、コピー数を回復させrDNAを安定化する機構が存在し、変動はしつつもほぼ一定のコピー数が維持されている事が、報告者らのこれまでの研究で明らかになった。本研究では、その安定化機構の中心的な働きを担う増幅配列EXPの機能について解析した。
まず系統発生学的フットプリンティング法によりEXPを解析し、その中に様々な酵母で保存されている配列、つまり重要な機能を持つと考えられる配列を注出した。その結果、noncodingRNAプロポーターとして20年前に同定された配列がすべての酵母で保存されていることを発見した。さらにそのプロモーター(EXPに存在するプロモーターという意味でE-proと命名)の性質を詳しく調べたところ、コピー数が減ると双方向の転写が活性化し、その結果コヒーシンとよばれる姉妹染色分体を繋ぐタンパク質複合体がはずれ、増幅に必要な不等価姉妹染色分体間組換えが誘導される事が判明した。
さらにこの増幅機構が解明された事でrDNAのコピー数を自由に操作する事が可能になり、様々なコピー数を持つ酵母を作成し、その細胞に与える影響を調べた。その結果面白い事に、コピー数が減少した株では発ガン剤等のDNA損傷薬剤に対して感受性になることが判明した。これはrDNAにはリボソームRNAを生産する以外の機能がある事を示しており現在解析中である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】15,480千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 1,080千円)