DNAの高次構造と物理的特性に印された遺伝情報の解読
【研究分野】分子生物学
【研究キーワード】
遺伝情報 / DNA高次構造 / ゲノム / DNAの物理的特性 / クロマチン / 遺伝子発現
【研究成果の概要】
I.ベントDNAが担う遺伝情報の解析
T20は、負の超らせんを擬態した180塩基対の合成ベントDNAである。我々はこれまでに、HeLa細胞のゲノム内でT20がクロマチンを制御して転写を活性化できることを明らかにしていた。本研究では、T20をもつレポーターをマウスES細胞のゲノムに導入し、ES細胞におけるその機能と細胞分化がその機能に及ぼす影響について解析した。その結果、T20はマウスES細胞内でも、また同細胞を肝細胞に分化させた後にも、下流につないだプロモーターを活性化できることが明らかになった。さらに、lacO/lacI-GFP法を用いて、ES細胞におけるレポーターの存在部位を解析した。64コピーのlacO配列をタンデムに並べたDNAを上記のレポーターにつなぎES細胞ゲノムに1コピー導入して解析したところ、レポーターが核の周縁部に局在していることが分かった。
II.DNAの物理的特性が担う遺伝情報の解析
DNAの柔軟性をゲノムワイドに解析できるコンピュータプログラムを開発し、出芽酵母第3染色体に存在する全ての高頻度組換え部位の柔軟性を解析した。その結果、高頻度組換え部位にはゲノムの平均的硬さに比べるとかなり柔らかいDNAが含まれていることが分かった。ゲノム全体を解析した結果からは、エクソン領域がイントロンや遺伝子間領域よりも柔らかいDNAでできていることが明らかになり、DNAの柔軟性がエクソンとイントロンの違いを"表示する"情報として機能している可能性が示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
三谷 匡 | 近畿大学 | 先端技術総合研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,950千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 450千円)