電子・プロトン移動による分子素子機能の制御
【研究分野】応用物性
【研究キーワード】
電子移動 / 水素結合 / プロトン移動 / 分子素子 / 機能制御 / 電荷移動 / プロトン・トンネリング / 非線形電導 / 物質改良
【研究成果の概要】
本研究の目的は水素結合を有する電荷移動錯体を用いて、分子間(あるいは原子間)の電子移動と水素結合との相関を利用した新しいタイプの分子機能を探索し、それを素子機能として利用し得る手法を開拓することにある。
本研究ではその内容を次のような4つのテ-マに分け、それぞれのテ-マに最も適していると考えられる物質を対象として研究を遂行した。
(1)水素結合による一次元電子系の制御とその新しい光電物性・電気物性; ハロゲン架橋金属錯体,{[MA_2X_2]Y_2},M: Pt,Pd,and Ni,X: Cl,Br,and I,Y: 対陰イオン,A: 配位子
(2)水素結合性π分子システムの構築と新超伝導体の探索; サリシリデンアニリン誘導体
(3)新規プロトン・電子連動システムの構築と物性の創造;DTPPおよびDAP・TCNQ
(4)動的一次元水素結合格子に関する研究; アセチレンジカルボン酸一水素アルカリ塩
(1)においては、強い鎖間水素結合の導入により従来にない新しい物質が合成され、異方性の高く且つ効率のよい光伝導物質が得られたことは注目に値する。(2)では電荷移動型錯体を合成できたことによって、新しい有機金属もしくは超伝導体合成の可能性が高まった。また、(3)では、分子内および分子間電荷移動と水素結合を共存させることにより光励起後の自動電荷解離が誘導されることが明かとなった。この機構は、新しい型の複写感光機構として有効に利用し得ると考えられる。(4)については、まだ研究が始まったばかりであるが、生体系のエネルギ-伝達機構の一つのモデルを与えるものとして注目される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中筋 一弘 | 岡崎国立共同研究機構分子科学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
岡本 博 | 岡崎国立共同研究機構分子科学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1989 - 1990
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)