「コミュニティ・エフェクト」を明らかにするオンチップ-細胞計測解析技術の開発
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
オンチップ・セロミクス / アガロースマイクロチャンバー / 1細胞世代間比較 / 心筋細胞ネットワーク / 細胞ベース心毒性検査 / テタヌス刺激・応答 / DNAアプタマー / マクロファージ記憶 / マクロファージ / 圧力効果 / QT延長 / テタヌス刺激 / 金ナノ粒子 / DNAアダプター / オンチップ細胞計測 / マイクロチャンバ / 1細胞培養 / 大腸菌 / 酵母プリオン / 神経細胞ネットワーク
【研究成果の概要】
本研究では、孤立細胞が持つ特性、細胞集団が持つ特性を構成的なアプローチによって明らかにすることに成功した。以下に主な成果を列挙する。(1)微量細胞培養マイクロチャンバシステムを用い、運動する大腸菌中でのGFP修飾Tarタンパク質の細胞内局在の変化が、環境からの刺激によってどのように応答するかを計測し、細胞膜に発現したTarタンパク質の空間局在が、細胞分裂時に世代間で伝承して後天的情報を継承することを発見した。また、酵母中にGFP修飾プリオンを発現させ、環境からの刺激の変化によって凝集体がどのように凝集・乖離するかを、細胞の世代をまたがって初めて計測することに成功した。(2)世界で初めて神経細胞のAxonとDendriteを区別して神経細胞ネットワークを構築し、この神経細胞ネットワークの各細胞の電気刺激・応答を1細胞単位で計測することに成功した。(3)心筋拍動細胞のネットワークパターンを経時的に変化させる技術を確立し、心筋細胞の拍動安定性と細胞集団数の関係を明らかにし、拍動安定性に対するコミュニティ・エフェクトの効果を実験的に示すことに初めて成功して、さらに心臓臓器に近い「リエントリーモデル」の構築に成功し、これを用いることで、期外収縮の発生をモデル上で実験的に再現することに成功した。さらに、薬剤による影響を検証しQT延長などの個体レベルで確認されている現象がこの「組織モデル」でも同様に観察されることが確認された。(5)同様に、前年度開発に成功した、軸索、樹状突起の方向性を制御した神経細胞ネットワークを用いて、これにテタヌス刺激を与えたところ、テタヌス応答が確認され、この応答が24時間の間に徐々に消失すること、消失の過程でのダイナミクスを連続して計測することに成功した。(6)免疫系についても、マクロファージに貧食をさせて、細胞に与える刺激を複数の抗原で与えたところ、その順序を細胞表面は記憶していることを確認した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2007
【配分額】16,540千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 1,140千円)