光熱変換光位相差検出法によるマイクロ分光光度計の実現と一細胞スペクトル計測
【研究分野】分析化学
【研究キーワード】
光熱変換検出 / マイクロ流体工学 / 光ファイバー / 光熱変換分光法 / マイクロ流体デバイス / 吸光光度法 / 光熱変換分光 / マイクロ流体チップ / 光熱変換 / 吸光光度計 / 吸収スペクトル / 吸光度分析 / 単一細胞分析
【研究成果の概要】
吸光光度法は化学やバイオの基礎をなす分析法の一つであるが、マイクロ流体チップをはじめとする微小空間では光路長が短いために適用が難しい。そこでマイクロ空間で高感度に吸光度を検出するために光熱変換分光法が研究されてきたが、原理的にレーザを必要とするためにスペクトルの測定は困難であった。一方、研究代表者らは光の分離・干渉を用いて光熱変換効果を検出する光熱変換光位相差(POPS)検出法を独自に開発してきたが、POPS検出法は幾何光学ではなく波動光学に基づいているから、インコヒーレントな光源を用いて誘起した光熱変換効果を検出できるのではないかと着想した。そこで本研究の目的は、マイクロ流体チップに光ファイバを埋め込むことによってPOPS検出を高感度化し、光路長1cmと同等のスペクトル測定を光路長100 umで実現することとする。
前年度に引き続き、検出条件を最適化し、スペクトル測定を実証することを目的とした。デバイスに光ファイバを挿入してUV硬化樹脂で接着し、レーザの波長を変えながら出射光の強度変化を測定することにより干渉を確認した。1時間後および1週間後に再度測定を実施することにより干渉の安定性を評価したが、1時間後の時点で強め合う干渉のピークトップがずれており、何らかの対策を施さなければ安定したPOPS検出は難しいという結論に達した。一方、励起光として波長532nmのレーザを用いて変調周波数の最適値を探索したところ、200Hz付近が最も信号/ノイズ比が高くなるという結果を得た。また、対物レンズの倍率について、10倍よりも4倍の方が信号値が大きかった。低倍の対物レンズの方が測定に有利であることから、励起光として白色光を用いたときにスポット径が大きくなったとしても測定ができる可能性がある。今後、さらに干渉の安定化および条件の最適化を進め、スペクトル測定の実証につなげていく。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2017-04-01 - 2021-03-31
【配分額】22,230千円 (直接経費: 17,100千円、間接経費: 5,130千円)