大規模ポリマーライブラリを利用した細菌叢メトリクス
【研究キーワード】
細菌叢 / 高分子 / 機械学習 / バイオメトリクス / パターン認識 / ブロック共重合体 / 凝集誘起発光
【研究成果の概要】
本年度は、ポリエチレングリコールとポリリジンが連結したブロック共重合体を骨格とし、腸内細菌表面の特性に応じてさまざまな強さで結合させるための認識ユニットとして荷電性や疎水性の異なる様々な官能基、そして、ポリマーと細菌の結合情報を蛍光シグナルに変換させるための出力ユニットとしてテトラフェニルエチレンやフルオレセインなどの蛍光団を導入したブロック共重合体ライブラリを用いて、各種細菌叢の評価を試みた。はじめに、8 週齢のマウスを10日間、通常の状態で個別に飼育した後で二群に分け、一方はそのままの環境で飼育を継続し、もう一方は、活動リズムの乱れによる影響を評価するためのモデルマウス作成用ケージに移し、さらに28日間飼育した時点で採取した糞便サンプルに含まれる腸内細菌叢を対象とした検討を試みた。得られた腸内細菌叢試料を合成したブロック共重合体と混合すると、いずれも強い蛍光応答を生じることが確認された。続いて、このブロック共重合体セットを配置したアレイに対して腸内細菌叢試料を添加することで得られた蛍光応答パターンを線形判別分析によって解析したところ、正常マウスと睡眠障害モデルマウスの応答パターンに差異が認められ、さらに交差検証法からマウスの健康状態を高精度に診断できることが示された。これに加え、フルオレセインを導入したブロック共重合体のアレイによって藍染発酵槽由来の細菌叢試料を評価した結果、発酵槽の維持時間の変化や染色能の差異と相関する蛍光応答パターンを取得することにも成功している。また、ポリマー材料の改良を目的として、データベースから情報を収集し、多変量解析を利用して細菌センシングに適した構造の設計を実施し、細菌との混合により蛍光応答が得られることを確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
菅井 祥加 | 筑波大学 | 数理物質系 | 助教 | (Kakenデータベース) |
湯本 勲 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生命工学領域 | 研究部門付 | (Kakenデータベース) |
宮崎 歴 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生命工学領域 | 研究部門長 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)