核酸のエピジェネティック修飾の化学的検出
【研究分野】生体関連化学
【研究キーワード】
RNA / エピジェネティクス / 化学修飾 / メチルアデニン / メチル化酵素 / プロテオミクス
【研究成果の概要】
RNAのエピジェネティックな修飾は、遺伝子発現、細胞分化、転写後の多くの生物学的機能を制御しており、その検出に対する研究が分子レベルで進められなければならない。しかしながら、RNA修飾に対する効果的な研究手法が未熟であり、チャレンジングな挑戦課題として残されている。上述のm6Aは以前からその存在は指摘されているところであるが、それを効率的に検出できる手法は開発されていない。したがって、配列選択的でかつ簡便で信頼できるm6A検出法が求められている。m6Aを認識する新しい酵素ALKBH5と呼ばれる酵素は、ノンヘム鉄と2-ケトグルタル酸を含む酸化酵素であり、m6Aを酸化的に脱メチル化する。ALKBH5は、m6Aの認識分子として有効かもしれない。本研究では、ALKBH5の核酸修飾を用いて、m6Aを配列特異的に認識する系を開発した。
1) 酵素群の発現:ALKBH5 FL、ALKBH5 CD、Sortase Aを発現させた。ALKBH5については、特に精製を簡便化するためにチオレドキシン部分を連結したものを用意した。
2) トランスペプチデーション:ALKBH5と核酸を結合するために、まずSortaseAを用いた。アジド基を含むGGGK-アジドとDBCO基を含むRNAを用意した。ALKBH5のC末端は、LPETGGで終えているので、それとGGGK-アジドおよびSortaseAと混合することにより、トランスペプチデーションを引き起こし目的のアジド修飾C末端を含むALKBH5を得ることができた。さらに、DBCO標識したRNAとアジド修飾ALKBH5を混合することにより、RNAが連結したALKBH5を得ることができた。
3) m6Aの配列選択的脱メチル化について:候補になるm6A修飾RNAを合成した。前項で得られたRNA連結ALKBH5の量が本事件を行うには十分な量ではなかったため、追合成中である。
【研究代表者】
【研究種目】特別研究員奨励費
【研究期間】2013-04-01 - 2015-03-31
【配分額】1,400千円 (直接経費: 1,400千円)