自己組織化空間パターンによる骨類似ポリマー・セラミックス複合体の新規合成法の開発
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
生体材料 / 有機無機複合材料 / リン酸カルシウム / 自己組織化 / 吸水ポリマー / ゲル / 階層構造 / 拡散場 / 拡散 / 吸着
【研究成果の概要】
本研究の目的は、ナノレベルからマクロレベルで制御された三次元的な階層的構造を有するポリマー・セラミックス複合材料の新規な合成方法の提案とそれを利用した生体機能性材料の開発である。本研究の成果は、複合化の基礎となるゲルマトリクス内における自己組織化空間パターンについてのモデル系の検討(パートI)と、周期的な空間パターンを利用した新規な階層構造、ナノ格子状構造、あるいはナノ繊維状構造を持つ水酸アパタイトの合成手法の開発(パートII)とに大別される。
パートIでは、ゲル内の結晶形態に影響をおよぼす因子として、マトリクスによる溶質の拡散制御と、ゲル化剤分子の結晶表面への吸着による成長制御が重要であることを見出した。さらに、ポリマーマトリクスと析出結晶との相互作用が強い系において階層的な構造体を自己組織化的に構築されるシステムを見出した。これらの基礎的知見は、生体セラミックス・高分子複合における自己組織化的構造制御に有益な知見であると考えられる。パートIIでは、生体機能材料として期待されるリン酸カルシウム系セラミックスを用い、吸水性高分子をゲル状マトリックスとして用いて自己組織化空間パターンを制御するための基礎的な知見を得た。その結果、ナノレベルの周期的沈殿現象および生成する結晶相の制御が可能となり、骨類似な生体親和性ポリマーとセラミックスの絡み合い構造構築のための基礎技術が確立された。さらに、ゼラチンゲルを用いることでナノスケールでパターン化された新規なタイプの構造制御された水酸アパタイトの合成手法を開発した。
以上の3年間の研究を通して、ゲルマトリクスと有機分子の特異吸着を利用することで、結晶成長における自己組織化空間パターンを制御し、水酸アパタイトを代表とするさまざまな材料系でナノレベルからマクロレベルにわたって階層的に制御された構造体を作製するための方法論を確立するに至った。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)