クリック反応によるブロック共重合体体積分率の精密制御と3次元共連続ナノ構造の創成
【研究キーワード】
ブロック共重合体 / クリック反応 / 体積分率 / 3次元共連続ナノ構造 / ミクロ相分離 / 3次元共連続ナノ構造
【研究成果の概要】
本研究は,クリック反応によるブロック共重合体の精密な体積分率制御を軸にした3次元共連続ナノ構造の高信頼性創成技術の開拓を目指し,合成技術の確立と未だ解明されていない基礎的な課題の解決に取り組み,幅広い発展が望めるナノ構造材料に展開するための基盤研究である.
本年度(令和3年度)は初年度に続き,クリック反応による多様な官能基導入の探索と反応条件の最適化に取り組んだ.特に,高効率な反応として知られるチオール-エン反応及びチオール-エポキシ反応を取り上げ,先にリビングアニオン重合によって精密に合成したブロック共重合体に適用し,任意の側鎖官能基の導入に成功した.ブロック共重合体には,ポリスチレン (PS)とポリメチルビニルシロキサン(PMVS)によるPS-b-PMVS,PSとポリメタクリル酸グリシジル(PGMA)によるPS-b-PGMA,ポリイソプレンとPGMAによるPI-b-PGMAの3種類のブロック共重合体を合成し用いた.
側鎖の導入量はNMRスペクトルにより解析を行い,±5%以内の高い精度で導入量の制御が可能である最適化条件の設定に成功した.一例として,PI-b-PGMAにチオール化合物を導入し得られたブロック共重合体は,穴あきラメラ構造を高い再現性の下,得られることが明らかになった.ミクロ相分離構造は小角X線散乱解析および透過型電子顕微鏡観察により明らかにした.初年度に引き続き,出発が同じブロック共重合体の側鎖官能基の導入量をクリック反応により化学的に制御することで,シリンダー,ジャイロイド,ラメラ構造など共連続構造を含む多様な3次元構造形態の創製が可能であることを示すことに成功した.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)