主鎖分解性をもつ導電性高分子の精密合成
【研究キーワード】
高分子合成 / 高分子反応・分解 / 導電性高分子
【研究成果の概要】
本研究では、導電性と分解性を併せ持つ高分子を合成し、その諸物性を評価することで、高分子構造と諸機能の相関解明を進めることを目的とする。本目的達成のため、分解性官能基が導入された共役型モノマーを合成し、そのモノマーの精密重合法を確立することで、明確な構造をもった分解性高分子の合成を目指す。具体的には、様々な分解性共役型モノマーの触媒移動型縮合重合を検討し、分解性が付与された導電性高分子の合成手法の開発を検討する。今年度は、種々の共役型モノマーの合成を達成し、金属触媒を用いた精密重合を検討した。開始剤とモノマーの仕込み比や重合溶媒などの重合条件の検討を行うことで、分子量分布が狭く、分子量の制御された共役系ポリマーの合成を行った。モノマーの側鎖に長鎖アルキル基を導入することで、得られる高分子の溶解性向上を図り、単独重合体の合成を達成した。さらに、非共役型モノマーとのランダム共重合を行うことで、分解可能な官能基が任意の割合で導入された高分子量体の合成に成功した。得られた共役系ポリマーの光学的及び溶液中での特性を評価し、単独重合体とランダム共重合体間での比較を行った。今後は、モノマー構造と得られる高分子の分解性の体系的な評価、さらに光学的特性や導電性などの多面的な解析を行う。これらの評価で得られる知見を発展させ、構造と諸機能の関係の明確化を進めることで、分解性を示す導電性高分子の設計指針構築を目指す。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2020-09-11 - 2023-03-31
【配分額】2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)