ホール輸送高分子の水レドックス触媒能の見出しと可視光による水素/酸素発生の化学
【研究キーワード】
有機機能材料 / レドックス反応 / ホール輸送高分子 / 光触媒 / 水分解
【研究成果の概要】
ポリチオフェンなどホール輸送性共役高分子の薄層が、固有な光吸収能と電荷輸送能の他に、水分子の酸化還元および水中酸素分子の還元反応の触媒能を兼ね備え、さらにいくつかは光照射下でも促進され、水分解(水素・酸素ガス発生)と過酸化水素生成に作動することを実証している。
(1)一連のポリ(3-アルキルチオフェン)およびアンモニウム塩ドープ体の薄層につき、結晶・非晶構造、ホール輸送性、HOMO/LUMO電子状態を明らかにするとともに、特にドープしたポリ(3-ヘキシルチオフェン)薄層が、低い過電圧でサブmA/cm2 還元電流を与え、水中酸素の還元による過酸化水素の生成効率96%と高かった。同層は可視光吸収も強く、光照射下では還元開始電圧が平衡電位を超え、速度4g(H2O2)/gポリマー・hrで過酸化水素を生成した。共役高分子による光吸収/電荷分離・輸送、電子注入、還元反応による過酸化水素生成の機構を明らかにした。
(2)高分子薄層に接する水分子の状態(水素結合、クラスター形成、イオン解離度)をNMRで解析した基礎知見を報告し、水レドックスに及ぼす影響について示唆した。
(3)ポリトリフェニルアミン薄層に正電位を印加して水分子の酸化を試みたところ、アミン自身の酸化など副反応が併発した。2電子還元による水素、過酸化水素の生成に対比して、水分子の4電子酸化による酸素発生は難度高く、有機・高分子による既報は極めて限られている。まず問題点と設定すべき実験条件を整え、令4年度に繋げた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
須賀 健雄 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
篠原 浩美 | 早稲田大学 | 理工学術院総合研究所(理工学研究所) | 次席研究員(研究院講師) | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)