電解合成と電気泳動とのシナジー効果を利用した高分子材料創製
【研究キーワード】
導電性高分子 / バイポーラ電気化学 / 電解重合 / 電気泳動 / 高濃度電解液 / 微細構造プロセス / 高分子ファイバー / テンプレート合成
【研究成果の概要】
π共役高分子やレドックス活性高分子(以下、導電性高分子)はその電荷移動特性や光学的特性、電気化学特性などから有機エレクトロニクスやエネルギーデバイスへの利用が期待されている。優れた素材開発が急伸する一方で、それらのデバイス実装を目指す上での成型プロセス(製膜・微細構造)は発展しているとは言い難い。有機エレクトロニクスの実現に向けた導電性高分子を配線する技術やエネルギーデバイス用に高表面積微細構造を作製する技術は複雑な装置に依存する。これら制約から脱却するため、高分子材料合成と実装プロセスを結ぶ新しい方法論の提案と、既存の枠組みにとらわれない新しい学理の構築が必要となる。
本研究では、導電性高分子の合成とその効果的な成型プロセスまでを一貫して意識した新しい方法論の開発を目的とする。具体的にはモノマーの電解重合の際に、電場による電気泳動効果を利用して自在に製膜あるいは高密度成型する。具体的には、(1)モノマーの電気泳動効果を利用した高密度導電性高分子シリンダーの創出、ならびに(2)導電性高分子の薄膜状自発成長の方向制御、について取り組む。
本年度は、課題(1)については、イオン性モノマーのテンプレート電解重合に成功し、その微細構造の解析や電子移動特性評価を行った。課題(2)については、電解メディアとして高濃度電解液を用いてバイポーラ電解重合を実施し、ファイバー構造を得ることに成功した。さらに電気化学発光分析により、得られた導電性高分子ファイバーは従来法で作製したものよりも高い導電性を有していることが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)