結晶性高分子鎖を含むブロック共重合体のミクロ構造の研究
【研究分野】高分子物性・高分子材料
【研究キーワード】
ブロック共重合体 / ポリマーブレンド / ミクロ構造 / 結晶化 / 小角X線散乱法 / ミクロ相分離 / X線小角散乱 / 相互作用パラメーター
【研究成果の概要】
発表論文と口頭発表の内容を中心に62〜63年度に行った研究成果の概要を箇条書きする。
1.ポリ(εーカプロラクトン)(PCL)/ポリ塩化ビニル(PVC)混合系の結晶化による球晶構造。ポリマーブレンド中でPCLの結晶化によって形成される高次構造を調べるため、上記混合系においてその球晶構造を観察した。この結果より球晶構造の組成・結晶化温度依存性を調べた。PCLの作る球晶構造はPCL組成と共に大きく変化することが明らかとなった。
2.αーナイロン6の膨潤平衡状態における高次構造の変化。結晶性高分子の角散乱(SAXS)法を用いて調べた。この結果より、ラメラ間の非晶部分への低分子の介入による高次構造の変化が明らかとなった。SAXS強度データ収集の際には、新たに設置された位置敏感型X線比例計数管(PSPS)、及び、SAXS強度測定とデータ処理のためのソフトウェアがテストされた。結果は良好であった。
3.PCL/ポリスチレン(PS)系の相互作用パラメーターの測定。PCL/PSブロック共重合体を特徴づけるために不可欠なPCLとPS間の相互作用パラメーターをSAXS法を用いて算出した。その結果、この系の相互作用パラメーターの値は、ミクロ構造がよく研究されているポリスチレン/ポリブタジエン系等と同程度であることがわかった。
4.PCL/PS2元ブロック共重合体の高次構造。PCL/PS2元ブロック共重合体の作る高次構造をSAXS法を用いて調べた。この系ではPCLの結晶化による高次構造が顕著に現われ、結晶化の駆動力がミクロ相分離のそれと比べて非常に大きいことが明らかとなった。現在、詳細を検討中である。
以上、本研究成果を概観したが、今後この成果を基礎としてさらに研究を発展させる予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
野島 修一 | 名古屋大学 | 工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1987 - 1988
【配分額】4,800千円 (直接経費: 4,800千円)