微生物由来のポリエステルを主成分とする高強度生分解性高分子複合材料の開発
【研究分野】高分子構造物性(含繊維)
【研究キーワード】
高分子複合材料 / 生分解性プラスチック / ポリマーブレンド / ポリエステル / ポリ(3-ヒドロキシ酪酸) / ポリ(ビニルアルコール) / ポリビニルアルコール
【研究成果の概要】
微生物由来のポリ(3-ヒドロキシ酪酸)は生分解性,生体適合性などを持つ熱可塑性ポリエステルであるが,高結晶性で堅くて脆いために実用化されてはいない。本研究では,微生物由来のポリエステルを主成分とし,これと同種または異種の副成分高分子材料を組み合わせることにより,力学的強度,成型性などの性質の優れた生分解性高分子複合材料を開発することを目的として基礎的研究を行った。平成7年度は副成分高分子材料として立体規則性が異なる3種のポリ(ビニルアルコール)とポリ(3-ヒドロキシ酪酸)からなる高分子複合材料を調製し,各成分高分子の混合状態,熱的性質,結晶性などを固体高分解能^<13>CNMR,示差走査熱量計,フーリエ変換赤外分光器などを使用して評価した。複合材料の形態と物性はポリ(ビニルアルコール)の立体規則性に強く依存し,シンジオタクチック-ポリ(ビニルアルコール)とポリ(3-ヒドロキシ酪酸)は部分相溶ブレンドとなり、柔らかな透明フィルムを形成することがわかった。
平成8年度には,微生物由来の同種の複数のポリエステルの組み合わせから成る複合材料を調製し、構造、形態及び物性を評価した。ポリエステルとして微生物由来のポリ(3-ヒドロキシ酪酸),共重合ポリエステルである3-ヒドロキシ酪酸/3-ヒドロキシ吉草酸共重合体及び最近微生物による合成が可能となった3-ヒドロキシ酪酸/3-ヒドロキシプロピオン酸共重合体を取り上げた。組成分別と構造解析の結果,両共重合体試料は微生物合成の段階で単量体組成が異なる複数の共重合体のブレンドとなっており,成分共重合体の連鎖構造と混合組成に依存して物性と結晶・非晶形態が大幅に変化することがわかった。共重合体の単量体単位組成とブレンド組成を調節することにより多様な物性を持つ生分解性高分子複合材料が得られることを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
網屋 繁俊 | 物性研究所 | 所長(研究職/">(Kakenデータベース) |
吉江 尚子 | 東京工業大学 | 生命理工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1995 - 1996
【配分額】800千円 (直接経費: 800千円)