強誘電体の摩擦発電の研究
【研究キーワード】
電子・電気材料 / 誘電体物性 / 摩擦発電 / 永久双極子 / 自発分極 / 強誘電体 / 反強誘電体 / 抗電界 / マックスウェル変位電流 / 相転移
【研究成果の概要】
強誘電体は、磁石が鉄を吸い付けるように、正または負の電気を引き付けます。この性質を利用して、強誘電体のフィルムを曲げることで電気の引き付け度合いを変えて変位電流を流し、発電源として利用できます。振動発電として研究が活発化しています。電流の流れ方は変位電流と導電電流の2つがあります。強誘電体の発電源としての働きも、振動発電に活かされている変位電流とともに、導電電流による発電があるはずです。本課題では、導電電流として摩擦発電に着目し、導電電流による発電源としても強誘電体を利用することで、2倍の発電源としてエネルギーを引き出すことを目指しています。初年度は、研究計画に従い、下記の通り研究を進めました。
1.強誘電体(P(VDF-TrFE))の製膜条件および分極形成条件を決めました。抗電界の測定により、強誘電相が発電していることを確認しました。
2.摩擦発電システムでI-V特性を測定し、摩擦発電特性を評価しました。VDF:TrFE比70:30のP(VDF-TrFE)のガラス基板上スピンコート膜(分極形成処理前)の発電フィルムの測定を実施し、電流源Is=10.8 nA、内部抵抗Ri=0.22 TΩを電源の等価回路パラメータとして得ました。
3.乾燥窒素中で摩擦電流の温度特性評価を行い、強誘電相で摩擦による電流が増大することを見出しました。
今後は光学的測定(SHG測定)による発電ミクロ起源の決定と、強誘電体の物性値(抗電界、自発分極、誘電緩和時間)と発電特性の関係を追求し、発電特性の向上を進めます。また、成果をまとめ、論文の出版及び学会で発表により公表します。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
間中 孝彰 | 東京工業大学 | 工学院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)