酸化物クラスターを基盤としたグリーンな選択酸化反応系の構築
【研究分野】触媒・資源化学プロセス
【研究キーワード】
ポリオキソメタレート / 過酸化水素 / 分子状酸素 / エポキシ化反応 / バイヤービリガー反応 / イオン性結晶 / マクロカチオン / 選択的収着 / 酸化物クラスター / 選択酸化 / 炭化水素 / 欠損型ポリオキソメタレート / バナジウム / S字型 / 二核タングステンペルオキソ錯体 / Ru(OH)_x / A1_2O_3 / Dawson型ポリオキソメタレート / 複合体
【研究成果の概要】
(1)過酸化水素を酸化剤とした効率的エポキシ化反応触媒
(a)ペルオキソタングステート
単離した二核タングステンペルオキソ錯体K_2[{W(=O)(O_2)2(H_2O)}_2(μ-O)]・2H_2Oを触媒として用いると、基質に対して等量の過酸化水素のみを酸化剤とした水溶媒中でのアリルアルコール類のエポキシ化反応が官能基・位置・ジアステレオ選択的及び立体特異的に進行した。また、二核タングステンペルオキソ錯体はイオン性修飾シリカに担持することが可能であった。
(b)欠損型ポリオキソメタレート
欠損型ポリオキソメタレート[γ-SiW_<10>O_<34>(H_2O)_2]^<4->が、過酸化水素を酸化剤としたオレフィン類のエポキシ化反応に対して、≧99%のエポキシド選択率・過酸化水素有効利用率、高い立体特異性を示し、再利用可能な触媒であった。また、新規なS字型二量体[{γ-SiW_<10>O_<32>(H_2O)_2}_2(μ-O)_2]^<8->が、過酸化水素を酸化剤としたシクロアルカノンのバイヤービリガー反応の高機能触媒となった。
(c)バナジウム及ぴチタンニ置換シリコタングステート
{VO-(μ-OH)_2-VO}二核構造を持つポリオキソメタレート[γ-1,2-H_2SiV_2W_<10>O_<40>]^<4->が基質と等量の過酸化水素のみを酸化剤としたオレフィン類のエポキシ化反応に対して、高収率・高過酸化水素有効利用率を示す触媒となり、これまでにない立体特異性・ジアステレオ選択性・位置選択性を示した。また、チタンニ置換シリコタングステート[{γ-SiTi_2W_<10>O_<36>(OH)_2}_2(μ-O)_2]^<8->が、立体特異的エポキシ化反応触媒として機能した。
(2)分子状酸素を酸化剤とした効率的エポキシ化反応伯媒となるbis(μ-oxo)架橋二核鉄サイトを有するポリオキソメタレート
Bis(μ-oxo)架橋二核鉄サイトを有するポリオキソメタレートが分子状酸素のみを酸化剤とした均一系アルケン類の酸素付加反応の触媒として機能した。シクロオクテンのエポキシ化反応において、エポキシド選択率≧98%、ターンオーバー数≧10000となった。
(3)形状選択性を示すミクロ構造ポリオキソメタレート触媒
Keggin型ポリオキソメタレート[SiW_<12>O_<40>]^<4->とクロム三核カチオン[Cr_3O(OOCH)_6(H_2O)_2]^+との自己組織化により、細孔径5x8 Å程度のチャネル構造を有する化合物K_3[Cr_3O(OOCH)_6(H_2O)_3][α-SiW_<12>O_<40>]・16H_2Oを合成した。この化合物は、水や炭素鎖二つ以下の有機極性分子を可逆的に吸収した。高選択的なゲスト取り込みが可能であり、有機ゲストの炭素鎖一つの違いを区別できた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
内田 さやか | 東京大学 | 大学院工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
引地 史郎 | 神奈川大学 | 工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】50,440千円 (直接経費: 38,800千円、間接経費: 11,640千円)