精密金属錯体の分子設計と生体機能
【研究分野】無機化学
【研究キーワード】
精密金属錯体 / 分子設計 / シグナル伝達 / 活性酸素 / インスリン / 光感受性色素 / 酸素化酵素 / 一酸化窒素
【研究成果の概要】
本研究者らはこの基盤研究を現在最も活発に研究活動を行っている中堅の教授・助教授で組織し、1)精密金属錯体の合成、2)精密金属錯体の機能評価、3)精密金属錯体の機能解析、の3点に焦点を絞り、重点領域研究への発展を期して企画調査を行った。
具体的方針として、生体機能を発揮する事を目的として配位子の合成および金属錯体の調整を行い、それらを培養細胞、生体組織、酵素系に応用し、その機能を評価する。さらに機能発現の作用機構を解析し、得られた知見を分子設計にフィードバックすることを目的に、研究企画を行った。その結果、この様な多分野にまたがる研究は従来の固定した領域の研究者だけではなし得ないものであり、共同研究により初めて実りあるものとなる事が明らかとなった。テーマとしては遺伝子機能に関する研究、活性酸素・フリーラジカルに関する研究、金属酵素関連疾病に関する研究を取り上げた。
具体的には国際シンポジウムを東京で開催した。本会議は外国からの招待講演者4名、日本人招待講演者3名を含め、約100名のシンポジウム参加者により熱気溢れる討論が行われた。C.Oriving(Univ.British Colombia),M.P.Suh(Seoul National Univ.),Zalewski(Univ.Adelaide),X.-Y.Li(Hong Kong Univ.Sci.Tech.)H.Mihara(Tokyo Inst.Tech.),O.Ogawa(Lederle,Japan),K.Kikuchi(Univ.Tokyo)の口頭発表とポスターによる発表32件。いずれも最先端の研究でこの境界領域が新しい研究分野として芽生えつつあることを感じさせた。さらに第2回目の会合として本年(平成10年)1月20日に東京大学山上会館で研究会議を行い、現在までの研究の進捗状況と今後の活動方針等を討議した。
これらの成果に基づき、さらにこの分野を発展させるべく平成10年度発足の特定研究への申請を行った。
【研究代表者】