超臨界流体中での励起芳香族分子の緩和過程
【研究分野】物理化学
【研究キーワード】
超臨界 / 芳香族分子 / りん光量子収率 / りん光寿命 / エキシマー / ダイマー / 超臨界流体 / りん光 / 寿命
【研究成果の概要】
分子間の反応では分子同士が近付くことが最低限必要であるが、どの方向から近付くかも重要な要素である。溶液中での溶質分子は比較的均一な分布を保って運動しているが、吸着状態では不均一な分布をしていることが多い。このため、特異な位置関係に吸着された分子が特長のある反応をすることは十分に期待できる。溶媒密度の大きい超臨界流体も特異な反応を誘起する可能性がある溶媒であるが、溶質分子の配向等にどのような特性があるかについては不明である。本研究は芳香族分子が超臨界流体中でどの様な状態にあるかを明らかにする事を目的としてCO_2、Xe等の超臨界流体中でピレン、テトラセン又は2-クロロナフタレンでの吸収スペクトル、発光スペクトル等を測定し、結果を通常の条件下でのスペクトルと比較・検討した。
研究結果より、10^<-5>Mという極く低濃度でもエキシマー蛍光(ピレン)や会合体(テトラセン)が見られたり、低温でなければほとんど観測されていない芳香族分子のりん光が高温でも比較的大きな量子収率で観測される(2-クロロナフタレン)等から、超臨界流体は以下のような特異な溶媒であることが明らかになった。
(1) 溶質である芳香族分子を均一に溶解しておらず、局部的に高濃度の部位が分散した状態にある。
(2) 溶媒分子が高密度に集積しており、溶質分子と強く相互作用している。
今後、超臨界流体の溶媒としての性質をさらに明らかにすると共に、超臨界流体特有の化学反応に関する研究を進めて行く予定である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)