反射吸収赤外分光法を用いた金属電極-有機薄膜界面の構造と電場誘起過程の研究
【研究分野】物理化学
【研究キーワード】
有機発光ダイオード / 赤外分光 / 共役高分子 / 赤外反射吸収測定 / 有機電子デバイス / ポリチオフェン誘導体 / 発光ダイオード / ポリパラフェニレンビニレン / キャリヤー / ポーラロン / けい光分光
【研究成果の概要】
有機化合物の単層ないし数層(膜厚合計,100nm程度)を金属電極で挟んだ構造をもつ発光ダイオードおよび金属,絶縁体,有機薄膜からなる電界効果トランジスターにおける有機化合物の構造や配向を測定する手法として,45度入射赤外反射吸収分光法を開発した.赤外測定を行うために,発光ダイオードの場合は,ITO蒸着ガラス電極のITO蒸着膜の適切な膜厚を求めた.また,電界効果トランジスターの場合には,蒸着する金電極の厚さを約10μm程度として,赤外光が部分的に透過するようにした.測定した偏光赤外反射吸収スペクトルでは,多くの場合,p偏光がs偏光に比較して非常に強く観測された.2および3層構造のモデルを使って,入射波と反射波の干渉により生成する定在波の強度を、計算し,p偏光がs偏光に比べて非常に強いことが原因であることを明らかにした.共役高分子発光ダイオードの赤外反射吸収スペクトルと透過吸収スペクトル測定から,ポリパラフェニレンビニレン誘導体,フルオレンとベンゾチアジアゾール共重合体高分子の混合物に関して,分子配向を決定した.PPV誘導体を材料とした発光ダイオードの電場誘起赤外吸収スペクトル測定では、高分子に注入されたキャリヤーの信号を得ることに成功した.MEH-PPVでは正キャリヤーのみが観測され,キャリヤー注入バランスの悪さを反映していると考えた.ポリチオフェン誘導体を材料として金属・絶縁体(アルミナ)・半導体ダイオードを製作して,電圧誘起赤外吸収スペクトルを測定し,電場効果ドーピングにより生成したキャリヤーを観測した.その結果,ポーラロンが生成していることがわかった.有機デバイスのin situ赤外反射吸収スペクトル測定は,デバイスの活性材料である有機化合物の構造と注入されるキャリヤーの研究手段として非常に有用な測定手段であることを示した.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】10,700千円 (直接経費: 10,700千円)