振動シュタルク効果の新しい測定法と解析法の開発
【研究分野】物理化学
【研究キーワード】
振動シュタルク効果 / 赤外分光 / ポリペプチド / 水 / 配向 / 高分子マトリックス
【研究成果の概要】
課題[1]:ポリペプチドの赤外吸収スペクトルの振動シュタルク効果アミド結合の赤外バンドに関して,二次構造とシュタルク効果の関係を研究した.BaF<SUB>2</SUB>基板の上にアルミニウムの半透膜(膜厚,約10nm)を蒸着し,その上に,ナイロン66またはpoly(β-benzyl-L-aspartate)(PBLA)のフィルムをスピンコート法により作製し,さらに,その上にアルミニウム半透膜を蒸着して,シュタルク効果測定用のセルを作製した.室温で,FT-IR差スペクトル測定法を用いて,振動シュタルク効果を測定した.スペクトルを解析して,NH伸縮振動やアミドIバンドなどに関して,△μを求めた.これまで報告されているデータと比較して,αヘリックスとシート構造での系統的な差異はなかった.しかしながら,報告数が少なく,今後,測定データ数を増やす必要がある.
課題[2]:水・水溶液の赤外吸収スペクトルの振動シュタルク効果表面に熱酸化膜を生成したn-Siを基板としてH<SUB>2</SUB>0液体の赤外吸収スペクトルの外部電場効果を測定した.H<SUB>2</SUB>0の赤外バンドの吸光係数は大きく,セルの厚さを非常に薄くする必要がある.スペーサーの代わりに,グリースを使用し,セル厚を薄くして,H<SUB>2</SUB>0の蒸発をおさえた.H<SUB>2</SUB>0液体は電流を流すので,外部電場効果を測定することが難しいが,上記のシリコン基板を使用することにより測定できることが分かった.電場印加にともなうH<SUB>2</SUB>0分子の再配向によると思われる信号を検出した.しかしながら,測定結果は孤立したH<SUB>2</SUB>0分子では説明できず,H<SUB>2</SUB>0会合体によるものと考えられる.
【研究代表者】
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2006 - 2008
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)