固体分子のダイナミックスと構造一物性の相関
【研究分野】物理化学
【研究キーワード】
固体分子運動 / ダイナミックス / 相転移 / プロトン移動 / アモルファス相 / 液晶相 / X線解析 / 熱容量解析 / 分子運動 / 固体分子 / NMR / 熱運動
【研究成果の概要】
本研究では、以下の7つの課題を各研究者が相互に有機的に連携を保ちながらさらに研究を進めた。(1)固体分子のプロトン移動 稲辺は有機結晶中の水素結合のプロトンが移動することによるπ電子系の電荷移動相互作用に与える影響を検討した。池田は中性子散乱を使ってKH_2PO_4や氷の結晶中のプロトンの移動を理論と実験で検討した。大橋はコバルト錯体結晶に光を照射したときの重水素と水素の置換反応を中性子回折で直接証明した。武田は強誘電性発現機構に関して理論的に検討した。(2)固体の相転移 阿竹はフラーレン化合物を熱測定のデータを分子動力学から説明した。斉藤はp-ポリフェニル混晶の相転移を熱容量の変化から説明した。岩崎は有機ラジカルの構造をX線で解析し、相転移の機構について検討した。鳥海はハロゲン架橋一次元金属錯体の二次相転移の機構をX線で構造を解析して明らかにした。田中(秀)は水の相転移機構について理論的に展開した。(3)固体分子の運動の自由度と反応性 大橋は界面活性剤と芳香族分子の複合体結晶を作る機構をX線解析で調べた。竹中はジスチリルピラジンの光と放射線重合の機構を調べた。(4)固体分子の非調和熱振動や束縛回転 田中(清)はX線精密解析によって分子軌道と非調和熱振動を求め、相転移との関係を調べた。尾崎は束縛回転の機構を理論的に検討した。(5)液晶や薄膜の構造と機能 宮島は液晶をNMRでその動的な過程を検討した。(6)アモルファス相の構造と分子運動 石井はベンゼンやハロゲン置換ベンゼンの低温のアモルファス状態の微視的構造とその緩和過程を振動分光法を用いて検討した。(7)分子設計と合成 松山はヘテロ環をもつカルベン錯体を合成し、その機能性を検討した。
【研究代表者】