水素結合クラスターの電子構造
【研究分野】構造化学
【研究キーワード】
分子クラスター / 水素結合クラスター / 液体ビーム / 負イオンクラスター / 光電子分光 / クラスター / 水素結合 / 電子スペクトル / 多光子イオン化分光法 / 質量分析 / 分子線 / 内部回転
【研究成果の概要】
本研究では、比較的大きなサイズの分子クラスター、特に水素結合クラスターを生成させ、その構造変化と電子状態について研究する事を目的としている。金属クラスターなどでは、電子状態がクラスターサイズに敏感である事から、大きなクラスターの研究がなされているが、分子クラスターでは異性体によって電子スペクトルが複雑化するため、大きなクラスターの研究は例が少ない。分子クラスターでも、サイズの大きな極限では規則性のある結晶構造を取るはずで、水素結合性分子の場合には、水素結合による、3次元的網面構造、又はラセン構造によって、小さなクラスターでも規則性を持つようになると期待される。本研究では、大きな分子クラスターを生成させるために、液体ビーム法と、クラスター陰イオン生成とを試みた。
(1)液体ビーム:20-30ミクロンのノズルから液体を真空中に噴出させる。液体ビームに色素レーザーを照射し、質量選択した共鳴多光子イオン化法によって、特定サイズのクラスターの電子スペクトルを測定する。ベンゼンなどの揮発性液体ではビームの境界領域に大きなクラスターが存在し、しかも極低温である事が確認された。しかし、イオン化時のfragmentation過程のために、特定のクラスターサイズを質量選別できず、より大きなクラスターが混在する事が結論された。フェノールなどの不揮発性分子は、液体ビーム中にレーザー照射しイオン化し、クーロン反発によって気相にとびだす事が結論された。霧吹き型のノズルによって不揮発分子の大きなクラスターを生成させる事を試みている。
(2)負イオンクラスターを電子付着によって生成させたところ、いままで観測できなかった大きな分子クラスターが検出された。負イオンクラスターの光電子分光を行いつつあるが、今後負イオンを出発してその電子を脱離し、中性化してスペクトル測定する事を計画している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中嶋 敦 | 慶応義塾大学 | 理工学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1992 - 1993
【配分額】6,900千円 (直接経費: 6,900千円)