共鳴分光法による原子クラスタ-のリドベルグ状態の解明
【研究分野】構造化学
【研究キーワード】
クラスタ- / 光光二重共鳴 / リュ-ドベリ状態 / 大振幅振動
【研究成果の概要】
研究実施計画にしたがって、共鳴分光法による原子クラスタ-のリュ-ドベリ状態の研究を以下の様に行なった。
【1】実験装置の製作とその基本的性質の調査:クラスタ-を発生し、検出するための真空チェンバ-(中央理研製)を設置した。6インチおよび4インチ油拡散ポンプを取り付け、真空度5×10^<-7>Torr以下を達成した。クラスタ-生成に用いるノズルを設置し、クラスタ-生成の条件の下で、主チェンバ-部の真空度が10^<-5>Torr程度におさえられることを確認した。更にイオン検出部を設置し、光イオン化によるイオンの検出が可能であることを、波長266nmのレ-ザ-光(YAGレ-ザ-の4倍高調波)によって確認した。
【2】光光二重共鳴分光:クラスタ-としてHg原子と希ガス原子(Rg)とのヘテロダイマ-(HgRg)および3量体HgRg_2を取り上げた。イオン検出の準備段階として、蛍光を検出することによって、そのリュ-ドベリ状態の振電構造を明らかにした。HgNe,HgArでは、第1のレ-ザ-光をAまたはB状態の振電準位に励起し、ひきつづき第2のレ-ザ-光を導入することによって、6^3D,7^3S,7^3D,8^3S,8^3D,9^3Sのリュ-ドベリ系列の振動構造を明らかにした。更に,3原子から成るHgAr_2では、A,B状態の振動構造を明らかにすると同時に、7^3Sに付随するリュ-ドベリ状態における大振幅振動の存在をつきとめた。また、B状態では、前期解離過程が存在することが明らかとなった。HgAr_2についての研究は、J.Chem.Phys.誌に投稿中である。
【3】イオン検出によるリュ-ドベリ状態の検出:上記(2)で行なった研究を2段階共鳴3光子イオン化によって試みた。HgAr^+では、3光子目として509nm付近のレ-ザ-光を用いると効率良くイオンが検出されることが示された。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1991
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)