三次元一般相対論的電磁流体シミュレーションで迫る活動銀河核ジェットの力学進化
【研究キーワード】
活動銀河核ジェット / 相対論的電磁流体シミュレーション / 流体不安定性 / 数値シミュレーション / 流体
【研究成果の概要】
活動銀河核ジェットの駆動メカニズムは、磁場を介して回転している銀河中心にある巨大ブラックホールから回転エネルギーを引き抜きジェットの運動エネルギーに転化するモデルが有力視されている。このモデルではジェットが駆動された際、ポインティングフラックスと呼ばれる電磁的なエネルギーの流れが優勢となる。一方で、観測される活動銀河核ジェットは、電磁場よりも物質のエネルギーの方が優勢であることが示唆されている。このジェットのエネルギーにおけるパラドックスを解決するためには、ジェット伝搬中に磁気エネルギーを散逸させジェットを加速させる必要がある。そこで、本年度は、伝搬中にジェットの磁気エネルギーを散逸させるアイデアとしてジェットの磁場の極性が反転するジェットを考え、相対論的電磁流体シミュレーションを用いて磁場反転ジェットの伝搬ダイナミクスを調べた。ジェット半径を光速で伝搬する時間を基準とし、その基準に対し0.1倍、1倍、10倍の時間でジェットの磁場の極性が反転するモデル、および極性が反転しないモデルのジェット伝搬の数値シミュレーションを行なった。その結果、磁場の極性が反転する全てのモデルにおいて、磁気極性が反転する磁気中性面で磁気散逸が生じ、ジェットの磁場が反転しないモデルよりも加速することがわかった。ジェットの加速メカニズムは、散逸された磁気エネルギーが一度、流体の熱エネルギーへと変わりジェット半径が膨張することで実行的な慣性が小さくなり加速するという相対論的流体特有の効果である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)