中性炭素原子サブミリ波スペクトル線の広域観測による星間分子雲形成過程の解明
【研究分野】天文学
【研究キーワード】
テラヘルツ / サブミリ波 / 星間分子雲 / 銀河系 / 電波望遠鏡 / 中性炭素原子 / 超伝導 / 電波天文学 / 中世炭素原子 / 星間化学
【研究成果の概要】
本研究では、富士山頂サブミリ波望遠鏡を用いて中性炭素原子のサブミリ波輝線の広域観測を実現するために、超伝導受信機の低雑音化をすすめた。その結果、492GHz帯で受信機雑音温度120K(DSB)を実現した。また、809GHz帯の受信機の開発にも成功しNbを用いたものとしては世界最高レベルの580(DSB)を実現した。その上でこれらの受信機を富士山頂サブミリ波望遠鏡に搭載して観測を行なった。
本研究によって、牡牛座分子雲、オリオン座分子雲など代表的近傍星間分子雲について中性炭素原子のサブミリ波スペクトル線(492GHz)の広域分布がかってない規模で明らかになった。また、中性炭素原子のもう一つのサブミリ波スペクトル線(809GHz)についても、オリオンKL, DR21などの代表的星形成領域においてそのスペクトルの分布を初めて明らかにした。これらにより、星間分子雲における中性炭素原子の起源が単に光解離領域によるのではなく、星間分子雲の形成、進化に深く関連していることがはじめて観測的に示された。これは、物質的な視点から星間分子雲の進化を捉える新しい方法論を提示したものと言える。
本研究は平成11年度から14年度の4年計画で立案されたが、予想よりも順調に進めることができた。そこで、最終年度前年度の平成14年に基盤研究(A)「テラヘルツ・ヘテロダインセンシングで探る銀河系星間ガスの相変化」を申請し、採択された。そのため、本研究は平成13年度をもって終了した。
【研究代表者】