疲労負荷下CFRPにおけるエントロピー損傷に基づく余寿命・残存強度予測法の構築
【研究キーワード】
CFRP / 繰り返し負荷 / エントロピー / 強度低下 / 有限要素解析 / 疲労 / 数値シミュレーション / 強度劣化
【研究成果の概要】
CFRPの繰り返し負荷において、目に見えない損傷・劣化が蓄積して材料の強度が低下していく有限要素モデルを開発した。エントロピー生成の関数として劣化を促進させるモデルであり、世界初の疲労劣化モデルである。
従来から存在する複合材料の破断モデルであるHashin則を基本として、材料の構成則に粘弾性を取り入れ、粘弾性による散逸エネルギーを温度で除すことで定義されたエントロピー生成量の関数として強度を低下させていくアルゴリズムを考案した。これをシンガポール国立大学と共同で汎用有限要素解析ソフトABAQUSに導入した。本モデルを利用すると、繰り返し負荷の周波数の変化、応力レベルの変化に応じて劣化具合が制御され、ランダムな繰り返し負荷に対する数値シミュレーションが可能となる。これまで単調な繰り返し負荷に対する研究しか行われてこなかったこの業界を席巻するモデルとなる。本成果は使い続けられるもの作りという命題をかなえる重要な技術革新である。本成果はInternational Journal of Fatigueへ22年5月に投稿した。
22年度からは、当該モデルを用いて、CFRP積層板のトランスバースクラック発生~進展の数値シミュレーション、およびCFRPロープの損傷に関して、繰り返し負荷を与えてどのような挙動となるのかを調査していく。22年度はシンガポールに訪問して詳細な議論を行い、モデルのブラッシュアップを図るとともに、JAXAでの実験を開始し、実験と数値シミュレーションの比較を行う。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
樋口 諒 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 特任准教授 | (Kakenデータベース) |
佐藤 光桜 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 | 航空技術部門 | 研究開発員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2021-10-07 - 2024-03-31
【配分額】18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)