動詞の項構造、統語構造と基本語順の関する認知脳科学的研究
【研究分野】言語学
【研究キーワード】
三項動詞 / 項構造 / 統語構造 / 語順 / fMRI / 脳波 / 認知脳科学 / 国際研究者交流 / 国際情報交換
【研究成果の概要】
本研究の目的は、日本語の三項動詞文を、理論言語学、文解析、脳機能イメージング、および言語獲得の4つの観点から多角的かつ総合的に研究することによって、三項動詞文の基本語順と統語構造を解明することであった。
多くの言語で三項動詞文の2つの目的語の統語構造上の位置関係がハッキリせず、項構造と統語構造との対応関係の研究にとって大きな障害となっている。述語の項が文の中で統語構造上どのような位置に実現するかは言語理論の根幹に関わる重要課題であり、言語の本質についての理解を深めるためには、三項動詞文の統語構造を明らかにし、項構造と統語構造との対応関係の研究を促進することが必要不可欠である。本研究の構想は、このような問題意識に基づいている。
日本語の三項動詞文の統語構造と語順に関して種々の仮説が提案されているが、それぞれの説の「証拠」とされているデータが、いずれも微妙な判断(容認性、解釈)を要求するもので、研究者の間で必ずしも意見が一致しておらず、どの説が正しいかを純粋に理論言語学的な手法だけで決定することは難しい。言語獲得や文解析の観点からも三項動詞文の基本語順の研究が行われているが、いずれもごく限られた仮説のみを検討の対象としており、多くの重要な仮説の妥当性を検証できるデザインのものはない(e.g.Suzuki et al.1999,Sugisaki and Isobe 2001,Yamashita 1997,Miyamoto and Takahashi 2002)。
そこで我々は、理論言語学、文解析、脳機能イメージング、および言語獲得の4つの観点から多角的かつ総合的に三項動詞文を研究し、その基本語順と統語構造を解明した。さらに、その課程で、語順の違いによる文理解の際の負荷の違いを生み出す主たる要因が統語構造の複雑さであることを実証した。
【研究代表者】