海底水圧計・地震計データの解析による津波地震の発生メカニズムの研究
【研究分野】固体地球惑星物理学
【研究キーワード】
水圧計 / 津波 / 微小津波 / 熱応答 / 温度補正 / 海底観測 / 温度ノイズ / 余効変動 / 地震 / 海底水圧計 / 室戸岬沖 / 十勝沖 / 津波地震 / 地殻変動 / 津波マグニチュード / 津波振幅 / 室戸 / 釧路 / 十勝 / ケーブル
【研究成果の概要】
本研究では、北海道太平洋岸の千島海溝・日本海溝北部及び四国沖南海トラフ海域を対象に、沈み込み帯で発生する微小津波イベントを検出・同定する事を主目的とし,さらにそれに基づき津波地震の発生原因を検討することも目的とした.
しかしながら,実際には,本研究計画の立案段階では判明していなかった問題がわかりその問題の解決にかなりの時間を要した.そのため当初の目的であった「微小津波を検出し,津波地震の発生メカニズムを検討する事」が十分達成されたとは言えない.その問題とは,水圧計には固有の過渡的熱応答特性があり,その特性周期は津波の周期帯と重複し,かつ,その熱的応答の振幅も無視できないほど大きいので水圧計記録に対して温度補正をしなくてはいけなかった.本研究を通じて新たに開発された温度補正法については既に国際学術誌に受理済みである.
また津波マグニチユード(Mt)は沿岸の検潮記録に基づきAbe(1979)によって定義された津波の大きさを表す指標であるが,深海底に設置された水圧計記録からMt決定する方法はまだなかった.このため本研究において,水圧計記録からMtを決定する方法を提案するとともに,それを実際の水圧計記録に適用し,その妥当性を確認した.水圧計記録からMtを決定する方法についての研究は国際学術誌で発表した.
最後に,海洋研究開発機構の釧路・十勝沖海底地震総合観測システムに装備された2台の海底水圧計で得られた長期間の連続記録から微小津波の検出を試みた.結論としては,微小津波の可能性があると思われるイベントは検出できたものの,それらはすべて海溝軸よりかなり陸側で発生した地震に伴ったものであり,海溝軸付近で発生した地震に伴って発生したと思われる津波は今回見つけることはできなかった.このため最終的な目的としていた微小津波の検出に基づく津波地震の発生メカニズムの検討については行っていない.
【研究代表者】