近代アジアにおける水圏と社会経済―データベースと空間解析による新しい地域史の探求
【研究分野】史学一般
【研究キーワード】
近代アジア / 社会経済 / 水圏 / モンスーン / 地域史 / 気候 / 空間解析 / アジア / データベース / 近代 / 河川 / 気象
【研究成果の概要】
本研究は、歴史研究者からなる歴史データベース(DB)ユニット(以下DBユニット)と、空間・水文解析の研究者による空間解析ユニット(以下空間ユニット)、それらを統括する統括ユニットが協働して行う。DBユニットによる資料収集と、空間ユニットによる水文解析の歴史研究への応用を含む新たな分析手法の開発を踏まえて【1、資料の収集・分析手法の開発】、①自然環境・現象、②生産・生活、③移動・流通をめぐる各地の水圏に関するDB構築と分析を行い【2、DB構築と分析】、自然と社会が交差するアジア地域の内的ダイナミズムに歴史的考察を加えていく。
【2、DB構築と分析】は、個々の水圏の生産・生活に関する2.1「自然災害と社会変動」と、水圏間を結びつける流通・移動に関する2.2「水圏間のつながりと仮想水貿易」の二つのプロジェクトから成る。2.1については、A. 「1931年長江水害研究」 では、空間ユニットによる氾濫期の気候・水文の復元に呼応して、被災のインパクトを、米価変動を通じて分析する作業を進めた。B.「1876-1878年インド旱魃と飢饉」では、 気候歴史DBと水文モデルの応用という手法を展開させ、再現された気候・水圏の下での、死亡率や疾病要因、作物生産に関する空間情報DBから飢饉の分析を行った。2.2については、1918-1920年のエルニーニョによる異常気象の下で、特定の地域における米の不作が、貿易を介してアジア全域での危機へと繋がっていく連鎖から、水圏間の密接な関係に考察を加えた。
統括ユニットは、国際学会(The 3rd World Congress of Environmental History)や国際ワークショップ “Rain, River, and Rice in Modern Burma”(2019年11月)を通じて、中間成果の国際発信と国際ネットワークの拡充を進めた。
【研究代表者】