プレート収束境界における広域変成帯の温度-圧力-変形経路と流動場の解明
【研究分野】地質学
【研究キーワード】
プレート境界 / 沈みこみ帯 / 広域変成帯 / 変形 / 温度場 / 水循環 / 火成作用 / 褶曲 / 有限要素法 / 沈み込み帯 / マグマ / 前弧ウエッジ / 変成作用 / 変形作用 / 3次元変形 / 3次元コーナー流れ / 一軸伸張
【研究成果の概要】
本研究では、(1)プレート収束境界にはさまれた「変成帯」に相当する領域の3次元流動変形と温度構造を予測する数値モデルを構築し、さまざまなプレート運動・変形の駆動力に対応して、変成岩がどのような3次元的変形を示すかをフォワードモデルから予測する、(2)変成作用・火成作用の駆動場として重要と考えられる海嶺沈み込みに伴う温度場擾乱場での物質循環、特に水循環を予測するモデルを構築する、(3)これらのモデルを天然の変成岩・変成作用および火成岩・火成作用に記録されている情報と照らし合わせ、全体像を推定することを行った。その結果、(A)プレート収束境界における可能な変形場(衝突型、のし上げ型、すれ違い型、前弧ウエッジにおけるコーナー流れと押し出し、および3次元流動を含むそれらの複合型)の中では、plainまたはoblate strainが卓越し、実際に日本列島白亜紀の広域変成帯(領家、三波川帯)やアメリカ西部のフランシスカン帯でみられるprolate strainは、唯一、3次元コーナー流れにおいて再現されうること、(B)日本列島白亜紀の広域変成帯は、およそ45度の斜め沈み込みに伴って、かつ海嶺が沈み込む時の熱と水の供給に伴って前弧領域がまくれあがるようにして3次元コーナー流れを引き起こし、それに伴って変形・上昇していること、(C)これらの流動を引き起こしたと考えられる海嶺沈み込みに伴う熱・水の供給は、玄武岩質岩石・橄欖岩質岩石の含水相平衡を考慮すると浅所(<50km)に限定され、地球内部への影響は少ないこと、(D)平均的な温度構造をもつプレートが沈み込むときにも、主要な含水鉱物は比較的浅所(<200km)で脱水分解を完了し、それ以深には、nominally anhydrous minerals(例えば橄欖石)によって比較的少量の水が深部に運ばれること、などが分かった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鳥海 光弘 | 東京大学 | 大学院・新領域創成科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】12,300千円 (直接経費: 12,300千円)