群列時間領域電磁法による火山体内部の状態監視システム(ACTIVE)の開発
【研究分野】固体地球物理学
【研究キーワード】
火山活動 / 比抵抗 / 時間変化 / 電磁探査 / 人口電流 / 郡列観測 / 活動的火山 / 状態変化 / マグマ / 電気伝導度 / 時間領域電磁法 / 地下水 / システム / 伊豆大島火山 / 情報伝達
【研究成果の概要】
本研究は,電磁法によって火山体内部の状態をモニターするシステム<ACTIVE>の開発を目的にして,平成12年度から平成14年度の3年間で実施した.
平成12年度には,火山体の状態変化を捉えるために信号送信装置と受信装置の最適配置を,数値シュミレーションによって決定した.この結果にあわせてセンサーの感度および記録計の性能を定め,測定システムを設計・試作した.信号送信装置は1台,受信装置は2台製作した.また,受信装置の感度および周波数特性を正確に測定して,テーブルを作成した.また,<ACTIVE>データの処理・解析ソフトウエアの開発を行なった.
平成13年度には,伊豆大島火山三原山火口周辺において2回の試験観測を実施し,観測システム全体の動作状況を確認し,火口周辺の3次元的電気伝導度分布を明らかにした.
平成14年度には,開発した信号送信機および受信機を用いて連続観測を開始するとともに,データ解析を行い火口直下の状態の常時イメージングの手段を確立して,当初の目的を達成した.2ヶ月に1度,カードを回収し,時系列データを重み付きスタッキング法で処理し,周波数解析を行い,周波数応答の時系列(地下の比抵抗構造時間変化の情報を含む)を求めた.また,これら周波数応答の時間変化を地下比抵抗の時間変化にイメージングするプログラムを開発した.
以上により,本研究計画はほぼ当初の目的を達成することができた.現在の伊豆大島の活動は極めて低いレベルに落ち着いているため,測定される比抵抗構造に有意な時間変化は得られなかった.一方,1986年の山頂噴火の前に直流法で観測されたみかけ比抵抗変化を再解析し,火道内のマグマの移動が捕らえられていたことを明らかにした.この結果を用いて,本研究で開発したシステムで予想される変化量を数値計算により見積ったところ,明瞭なイメージングが可能であることが示された.
【研究代表者】