単一火山を給源とする類似したテフラを識別・対比するための手法開発
【研究キーワード】
テフラ / データベース / 富士山 / 対比 / 単一給源 / 識別
【研究成果の概要】
COVID-19による行動制限の影響で、試料採取などについては計画通り進められなかったが、主に過去に採取した試料について分析を進め、類似したテフラを識別するための手法開発をおこなった。
まず、テフラの外形計測と特徴量の抽出については、富士山科学研究所に設置された形状測定装置を用いて70試料程度について測定を実施した。それらの計測結果に基づき、テフラ層の特徴を表現するのに有効な指標を選定した。その結果、大沢スコリアなどのいくつかのテフラは、こうした形状情報が、識別にある程度有効なことが判明した。
また、テフラの内部組織(気泡情報)の計測については、東京大学地震研究所の走査電子顕微鏡で,80試料300粒程度の反射電子線像を取得した。現在はそれらの反射電子線像から気泡量や気泡形状、石基結晶量について自動解析を行うためのスクリプトの作成を行なっている。加えて、気泡量や気泡形状とテフラ粒子の外形との関係も明らかになりつつある。さらに、気泡量、気泡形状、石基結晶量については、ある程度の時代性が認められており、噴火の発生した時期の絞り込みに有効な指標となる可能性があることがわかった。
上記に加えて、風化の度合いが低い試料については、蛍光X線化学分析を実施し、化学組成の面からの特徴抽出も行なっている。
こうしたテフラ識別の実践として、富士山麓の縄文・弥生時代の遺跡に堆積しているテフラ試料についても、考古学関係者の協力のもと、試料収集と分析に着手した。
【研究代表者】