炭素繊維放電プラズマを用いた較正用軟X線源の研究
【研究分野】プラズマ理工学
【研究キーワード】
軟X線 / プラズマ / Zピンチ / 炭素繊維
【研究成果の概要】
1、直径7μmの炭素繊維を放電電極へ装着するための新技術開発:固いが脆い炭素の物性に留意し、水中で10本の炭素繊維をアレー状に配置したホルダーから内視鏡用かん子で引き出す方式、繊維を入れたカートリッジを直径3mm黄銅製ローダーにより真空容器内に気密を保持しつつ取り付ける方式の、放電雰囲気の違いにより異なる2方法で2分以内の装着が可能。
2、軟X線計測技術:マイクロチャンネルプレートを用いたX線ピンホールカメラを製作。またプラスチックシンチレータと光ファイバを組み合わせたX線プローブを考案し任意の電位の場所での軟X線計測を可能とした。
3、炭素繊維の放電特性の解明:従来の金属細線放電とは異なり電気抵抗が大きい炭素繊維の放電特性は繊維周囲の状態により強い影響を受け、次のことが明らかとなった。(1)大気中では、抵抗加熱で繊維が高温となるにつれ表面付近から衝撃波が発生し、空気の密度が低下した領域で絶縁破壊が起こり、放電電流は分流され繊維自体には流れにくい。(2)純水中では、容易に炭素繊維部分だけに電流を流すことができ、炭素の電気抵抗の変化は縮退を考慮した理論式でなければ説明できない。炭素繊維放電の解析には高密度プラズマにおける各種輸送係数の正しい評価が不可欠である。(3)真空中では表面付近で気化した炭素の電離で最初に放電が起こる。繊維全体を放電させるには電流立ち上がりの速い電源が必要である。
4、波長可変軟X線源の可能性:炭素の特性スペクトルでは4.4nmである波長制限を取り除くため、炭素特有の層間化合物生成によりアルカリ金属等の各種元素を含んだ炭素繊維を利用する波長選択性が多様で、放射強度制御の自由な軟X線源を提案した。これに関する基礎実験として銅をコーティングした炭素繊維放電から、炭素単独の場合よりも1桁強度の大きい軟X線放射を観測した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
堀田 栄喜 | 東京工業大学 | 工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1985 - 1986
【配分額】1,600千円 (直接経費: 1,600千円)