水蒸気噴火に関わる阿蘇山地下熱水系の観測的研究
【研究キーワード】
火山 / 阿蘇山 / 水蒸気噴火 / 電磁気 / 熱水系モデル / 熱水系 / 重力 / 阿蘇 / plume rise / 重力観測 / 電磁探査 / 人工電流 / 比抵抗 / 噴煙
【研究成果の概要】
火山の電磁探査に関わる研究では、2021年度は、阿蘇山でのACTIVEキャンペーン観測を引き続き実施し、データを解析するためのMT-ACTIVEのジョイントインバージョンコードの開発を精力的に進めた。分担者の宇津木を中心に、2021年の5月、6月、8月、9月にACTIVEのキャンペーン観測を実施し、2021年10月に発生した噴火前の貴重なデータが取得できた。インバージョンコードの開発では、従来からのMT法と人工電流を用いるACTIVEの両者の計算で境界条件の与え方を共通にすることで、計算コストを大きく減らす手法を考案し、コード開発を進めた。2021年度中に順計算部分の開発が終わっており、逆計算部分の開発を進めているところである。
重力観測では、2020年12月に火山研究センター本堂観測室に相対重力計LaCoste-G1016を設置したのち、重力時間変化を連続的に収録している。その結果、2021年の6月18日、10月20日、および12月27日にステップ的な重力変化が観測された。3つの期日はそれぞれ火口陥没、小規模噴火、および火山性微動の振幅増加が確認された期日と一致しており、ステップ的な重力変化は火口直下における質量変動を示唆している。
また、昨年11月の噴火後に、ドローンを使った阿蘇での調査を実施され、その際、MultiGAS観測を行った。その結果、H2O/SO2=15-19(モル比)を得ており、H2O放水量が推定できた。値は阿蘇としては典型的であり、噴火前後で大きくは変化していないことが確認できた。
以上のような火山における各種物理量を統合的に理解するため、熱水流動モデリングも同時に進めた。これまでに、火口の西に存在する観測井内の温度の深さプロファイルとモデル計算値の比較から、地下に浸透する実効降水量の値が1000mm/年程度であると拘束し、モデルの信頼性を高めている。
【研究代表者】