地球電場の観測的研究
【研究分野】固体地球物理学
【研究キーワード】
地球電場 / 地球磁場 / 海底ケーブル / 外核 / ダイナモ / システム開発 / 海流 / 電気伝導度
【研究成果の概要】
本研究は、地球電場、すなわち外核における地球磁場発生プロセスに直接関係する電場を測定するための全く新しいシステムを開発することを目的として、3年間で実施する。
その3年目(最終年度)である本年度には、以下の項目の研究を行った。
(1)試作した観測システムを用いた実地試験観測。海洋科学技術センターの研究前「なつしま」とディープ・トウにより長さ10キロメートルの海底ケーブルおよび電場測定装置を南大東島近海の約3,300mの深さの海底に設置し、長期試験観測を行った。この試みによって、システムを展張技術が確立した。
(2)この試験観測の成功を受けて、長さ100kmのケーブルを展張する、地球電場観測装置の最終モデルへの展望が聞かれた。
(3)引き続き、海流による効果推定のための海洋観測データの収集を継続して実施した。
(4)また、海洋大循環モデルと現在の地球磁場から予測される電場を計算するための数値モデルの初期バージョンが完成した。このモデルの数値計算により、西岸境界流の流軸付近では、100kmあたり数100mV以上の大きな電場が発生することが明かになった。
(5)キネマティックダイナモモデルによる地球電場変動の理論的見積りを行い、開発したシステムによって地球電場の検出は十分に可能であることが示された。また、見積もられた電場の強さと(4)で推定される海流による電場の強さを比較したところ、流軸をまたいで測定する場合を除けば、地球電場の強度が上回る可能性が高いことが示された。
(6)通信用海底ケーブルで行っている地球電場観測データを解析し、長期トレンドの再見積もりを行ったところ、ほとんどのケーブルで前回の見積もり(Shimizu & Utada 1998)とほぼ一致する値が得られた。また、この値はキネマティックダイナモモデルのパラメータの範囲内で予測される値と調和的であることがわかった。海底ケーブルおよびグローバル地磁気データの解析により、マントルの電気伝導度標準構造モデルおよび3次元不均質構造を求め、結果を学術雑誌に公表した。
【研究代表者】