マルチスケール海洋波浪結合モデル開発及びその工学的利用に関する研究
【研究分野】船舶海洋工学
【研究キーワード】
海洋波浪 / 第三世代波浪モデル / 黒潮 / GIS / 第三世代波浪予測モデル
【研究成果の概要】
[研究の目的]
日本近海における資源・エネルギー開発、危険海域の予測と回避などのために、マルチスケール海洋波浪結合モデルを構築し、観測データとモデル、危険指標等を一つのシステムとして扱う分散型データサーバーを構築すること。
[研究成果]
(1)マルチスケール波浪海洋結合モデル・分散型データサーバーの構築平洋(1度格子)→日本近海(1/4度格子)→日本東海域(1/16度格子)、3重ネスティングによる波浪予測モデルを構築した(WAVEWATCHIII^<TM>がベース)。フリーク波危険指標などの5日予測を行っている。予測モデル出力は、簡便なアクセスを可能とするOPeNDAP及び各種GISデータサーバーに登録し、パスワード管理の上、試験的に公開している。(全体)http://157.82.253.137/(波浪追算)157.82.253.137/las v7/v6/dataset
(2)基礎課程の解明
非線形伝達関数の数値解法の高度化を行い(SRIAM)、海流(JCOPE)の影響を検証、その結果、当初想定していた海流との相互作用による波浪エネルギーの線形集中効果は弱く、むしろ風の場の変動が重要ということがわかった。
(3)工学的応用
<外航船の安全>海難事故時(1980尾道丸、2008年寿和丸)の海況を解析し、フリーク波発生指標(方向分散性、周波数バンド幅、波形勾配など)の時間変化を調べた。その結果、方向分散性と周波数バンド幅の結合密度関数図が有用であることがわかり、今後船舶への危険通知に応用できる。それらの指標はデータサーバーで提供している。
<そのほか>JCOPE海流再解析を用いて、メタンハイドレート掘削プラットフォームの安全性評価、日本近海における海流発電プラント適地選定、そして、魚類の卵仔稚魚の輸送過程の解明を行った。
【研究代表者】