シリコン・金属界面の原子尺度での構造制御と、その巨視的な機能物性の発現の研究
【研究分野】表面界面物性
【研究キーワード】
半導体・金属界面 / 表面電気伝導 / 表面超構造 / ホール効果 / 電界効果 / シリコン(111)表面 / RHEED / 空間電荷層 / 半導体・金属・界面 / 表面構造
【研究成果の概要】
昨年度に新しく設計・製作した小型MBE・RHEED装置に、新しい試料ホルダーと電気的測定用超高真空室を結合させた。これによって、(1)構造・組成の解析、(2)表面電気伝導、(3)ホール効果、(4)電界効果の測定に加えて、(5)光伝導もin-situに測定可能なシステムとなった。これを用いて、表面の微視的な原子配列構造・電子状態とその巨視的な電気特性を曖昧さ無く直接的に関連づける研究を昨年度に引続き行った。
まず、表面電界効果の実験から、Si(111)-7×7清浄表面が金属的な表面であり、Si(111)-√<3>×√<3>-Ag表面が半導体的な表面であることが明らかになった。また、7×7清浄表面に酵素を暴露すると、表面の酸化によって金属的な表面がしだいに半導体的な表面に変化しいく過程を電界効果の変化として捉えることができた。また、単色光を照射したときの光伝導度の変化も表面超構造に依存して全く異なる振舞を示した。さらに、Si(111)-√<3>×√<3>-Ag表面を150K程度の低温に維持して1原子層程度のAgを蒸着すると、√<21>×√<21>や6×6構造という表面超構造が形成されることを初めて発見し、しかも、それらの構造の形成・消滅に応じて表面電気伝導度が特徴的に変化することも見いだした。
これらの実験によって、表面空間電荷層が表面構造に依存して変化し、その結果、キャリアー濃度が増減し、表面電気伝導に影響を与える、という解釈の正当性を証明することができた。この様に、原子レベルでの構造と電気特性とを関連付ける研究は、新しいデバイス開発への基礎研究になると期待できる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
井野 正三 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993 - 1994
【配分額】7,500千円 (直接経費: 7,500千円)