3次元MHDダイナモによる地球磁場逆転機構の研究
【研究分野】固体地球物理学
【研究キーワード】
地球磁場 / 地磁気ダイナモ / 磁場逆転 / 電磁流体 / 流体運動 / 並列計算
【研究成果の概要】
本研究では,「地球や惑星になぜ磁場が存在するのか?」,また「地球磁場はどのようなメカニズムでその極性を反転するのか?」という問題の解明を目的とした.
まず,地球磁場が地球中心核内の流体運動と磁場との相互作用(ダイナモ作用)によって生成・維持される機構の具体的プロセスを解明するために,地磁気ダイナモ問題を3次元非線形問題として定式化し,さらに数値計算に適した形にまとめた.その上で,強力なワークステーションを昼夜わかたず駆使し,磁場の時間発展をできる限り厳密に追うという作業を続けた.
その結果,適当なパラメータ領域で実際に流体運動によって磁場が維持されること,さらに磁場の極性がかなり規則的に逆転することが確かめられた.この結果は,磁場の極性逆転が非線形相互作用の結果としていわば自発的に起こることを示しており,磁場逆転の内因説を支持する.さらに,外核-マントル境界の温度が不均一に分布する場合,磁場が安定する傾向が見られ,極端な場合には磁場の逆転が起こらなくなることがわかった.
これらの結果をさらに一般化するために空間スケールをさらに細かくし,非常に複雑化した系を取り扱ったところ,電磁流体3次元問題の性質が実に複雑で,大きなスケールでの振る舞いを小さなスケールにあてはめることは危険であることがわかった.この問題は深刻で,数値計算において膨大な計算を行わない限り真の結果に到達できないことになる.
この問題に対処するために,本研究では並列計算機の構築を試み,ダイナモ並列計算のためのコードの開発を行っている.この作業は大変であり,現在も続行中であるがもうすぐ完成の見通しがたったところである.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松島 政貴 | 東京工業大学 | 理学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993
【配分額】7,300千円 (直接経費: 7,300千円)