シングルnmオーダの超精密加工表面形状の多重解像度解析
【研究分野】生産工学・加工学
【研究キーワード】
超精密加工 / 表面微細形状 / マルチスケール / 顕微鏡 / ウェーブレット / 多重解像度解析 / 分解能向上 / 超精密加工表面 / 微細形状
【研究成果の概要】
本研究では、先端加工プロセスによって形成されるシングルnmオーダの超精密加工表面微細形状において顕著になる表面形状のマルチスケール特性を多重解像度解析手法に基づいて測定・評価することを目的としている。
まず、高さ分解能が高い走査型白色干渉顕微鏡を用いて、HDの下地加工表面を測定対象として測定実験を行い、表面構造解析を行った。
測定された表面微細形状のフーリエ解析に基づくFRACTAL解析では、Ra値が約8nmから3nmに移るにつれ、名目次元が定義域を越える現象が現れた。すなわち、自己類似的性質から、より白色化の方向へ表面構造が変化していることになる。したがって、表面形状特徴の局在性も含めて解析できるウェーブレット解析により、このようなシングルnm表面のより詳細な表面構造解析を行った。より広い波長範囲において特徴をとらえるため、複数の光学倍率による測定・解析結果を連結し、ウェーブレットにおけるスケールと振幅との関係等を、連続ウェーブレット変換と、離散ウェーブレット変換に基づく多重解像度解析により行った。
その結果、ウェーブレット解析においても、Ra値が約8nmから3nmに移るにつれ、そのスペクトルの傾きは緩やかに変化し、フーリエ解析における結果と同様の傾向を示した。ウェーブレットによる空間周波数解析結果は、Ra値が小さくなっても、本実験の範囲ではスペクトル分布に指数法則が見られ、数学モデルの成立が期待される。
一方、1nmより微細な形状においては、量子化の影響が現れることが予想される。本研究成果は、量子化表面への遷移過程にある表面の評価に有効であることが期待され、本研究の結果新たに明らかになった課題への取り組みが急務であると考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
原 精一郎 | 東京工業大学 | 大学院・情報理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)