3次元マントル対流の数値モデル-粘性率の強い温度依存性の効果-
【研究分野】固体地球物理学
【研究キーワード】
マントル対流 / 数値シミュレーション / 3次元 / 粘性率の温度依存性 / 数値計算法 / 非定常 / 対流のパターン
【研究成果の概要】
粘性率が温度に非常に強く依存する流体の3次元非定常対流としてのマントル対流の数値シミュレーションを行う上で必要となる計算技法を開発した。非定常対流の数値シミュレーションにおいては運動方程式と質量保存の式を各タイム・ステップ毎に高い精度で解く必要がある。マントル対流の場合,運動方程式・質量保存の式を離散化すると流速・圧力に対する巨大な連立一次方程式が得られるが,問題は、粘性率が温度に依存ししかも温度分布が時間的に変化する非定常対流の場合はこの連立方程式の係数行列が時間的に変化するため,各タイム・ステップ毎にこの連立方程式をフツに解く必要があるということである。3次元シミュレーションでは,この連立方程式はあまりにも巨大なものとなるため単純な直接解法で解くことは不可能であり、従来,様々な逐次近似法が試されてきた。しかし、解の収束が遅すぎて粘性率が温度に強く依存する場合に各タイム・ステップ毎にこの連立方程式を精度良く解くことに成功した例はなかった。本研究では第一に,SIMPLERアルゴリズムという従来良く用いられてきた逐次近似法とSEVP法というポワッソン方程式の直接解法との組み合わせにより,逐次近似の収束が従来の30倍程度速くなることを確認した。さらに,このSEVP法を近年急速に進歩しつつあるベクトル並列型のスーパーコンピュータに合った形に書き直すことにより,例えば方程式の離散化の際に用いるメッシュの分解能が33×33×33のときに,各タイム・ステップ毎の計算時間を5.4秒と十分現実的な範囲に収めることに成功した。この計算技法を使って実際に粘性率にその温度依存性のため10^4倍のコントラストがある場合の3次元の矩形の箱の中の非定常熱対流の数値シミュレーションをタイム・ステップ数にして80000ステップ分精度よく行った。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1994 - 1995
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)